ナイフハンドルのカスタマイズに疲労困憊 | 平々凡々 ◆看板屋のひとり言◆
みなさまご無沙汰しております。
久しぶりの投稿でちょっと気恥ずかしい感覚です・・・
 
昨年末から多忙な家内行事の合間を縫って
没頭していたナイフハンドルのカスタマイズ苦労記を投稿させて頂きます。
ご興味お有りでお暇な方、お付き合いくだされば幸いです。
 
紛失した愛用ナイフの新調品、どうしても手になじめず
『スタッグ(鹿角)柄に改良したい!』という思いがメラメラ沸き起こりまして、
実践してしまいました。
 
 
結果を先にご覧ください。
 
 
どない?なかなのもんでしょ!?
初めての試みでしたが、我ながら上出来!!と悦に入っております。

 
では、ここに至るまでの苦労をば、少々。
 
まずは元々のラバーハンドルの取外し。
ガスコンロで炙って引っこ抜くと、アッサリ!
 
 
“フルタング”と呼ばれる形状に変える為、原型をパソコンに取り込み、作図。
 
 
この図面データを基に、本当は自力でステンレス板を形状カットしたかったのですが
それにはとてつもない時間を浪費してしまうので、あっさり断念し“職権乱用”
仕事上の協力業者さんにレーザーカットして貰った♪
 
 
後、“ヒルト”と呼ばれるニッケル製の指当てパーツも半製品を購入しての加工としました。
 
でも、ここから先はドリルで穴開け以外は全て手作業で挑む。
 
 
元のタングとの銀ロウ付け接合工程も無事に終わり、軽量化の為に肉抜穴を開け
鹿角を貼り合せ繋げるボルト穴もボール盤で開ける。
 
エッ?開かない???
 
焼き入れした刃金は非常に硬く歯が立たたず
キリを2本も折っちゃいました・・・
仕方なく継ぎ足したステンレス側に小さな穴を開け、ヤスリでひたすら削り倒し
何とか格好が付きました。
 
ヒルトも削り上がり
 
 
接合もバッチリ!!
 
 
が、ここで思わぬ展開に!
 
 
 
終わってしまいました。
全ての労力が水の泡・・・ドクロ
 
微調整のヤスリ掛けの為バイスで挟んだ時、悪い角度から力が加わり『ポキッ』
 
ロウ付け時の熱がブレードに回らない様、濡れ雑巾で冷やしながら作業したのですが
冷却が出来ず、刃金が鈍ったのかも・・・
 
心も一緒に折れ、しばらく虚無感に苛まれた日が続きましたが
一念発起!
再度ナイフ購入し、同じ作業に取り組みました!!
 
そして次の工程に突入。
“エゾ鹿の角”をネット購入し、半割にする。
 
 
 
ここからも、ただひたすら削って成型するのみ。
休日 朝9時から夕方5時までぶっ通しで削り続けた日もあったりしてあせる
 
 
しかし鹿の角、初めて削ってその匂いにビックリ!!
歯科医に歯を削られる時の様な?爪を焼いた様な?はたまたザーメン??的な
タンパク質系のキツイ匂いがします。(慣れると香しく感じる・・・)
”滋養強壮に効く漢方薬”その所以が分かった気がします。
 
これらを2液性エポキシボンドに漆を混ぜ着色したもので貼り合せヤスリで調整。
最後にサンドペーパーの粗いものから細かいもので順に研磨し
液状金属クリーナーで磨き上げて完成です。
 
 
表側を削り過ぎ、折角の風合いが減退してしまった感が否めませんが
金属同士の継ぎ目も殆ど分からず仕上り
 
 
絶妙な握り具合にご満悦
 
 
又、2回目は大事をとって刃金部に熱が回らない様に低温で作業出来る”ハンダ付け”で接合しました。もちろん冷却しながら。
 
苦労の甲斐あり世界で1つのナイフに仕上がりましたが、
達成感よりも『もう2度とご免。』と思うほど疲労困憊。
加えて、費用的にナイフ職人逸品のカスタムメイドが買えたかも?叫び