サまいもか。寿

定食屋から出てくるメロンと空鉄

空鉄「師匠！ヨモギ餅おいしかったですねー！」

メロン「ふふふ・・・じゃーん！」

道具袋からヨモギ餅を取り出すメロン

空鉄「師匠・・・いつの間に・・・」

　　　「僕お金渡してませんよね・・・」

メロン「お勘定の時にこっそり買ったんですよ」

　　　　「1個銅貨1枚なんだから買わなきゃ損です！」

誇らしげに胸を張るメロン

空鉄「はぁ・・・無駄遣いもほどほどにして下さいよ師匠」

　　　「僕も好きだからいいものの・・・」

　　　「これで残りの資金は・・・」

荷車に乗り込み小奇麗な袋の中を見る空鉄

空鉄「金貨が5枚と・・・銀貨8枚」

　　　「それと銅貨がいっぱい・・・」

　　　「これから野営するとしても・・・」

そろ盤を出し荷車の上で計算し始める空鉄

牛をひっぱり森を目指すメロン

空鉄「1日3食の二人で・・・1食あたり銅貨10枚として・・・」

　　　「し・・・師匠！3ヶ月以上もいけますよ！！」

メロン「空鉄君・・・黒皮の食費を忘れてませんか？」

空鉄「黒皮の食費ですか・・・？」

　　　「黒皮って1日どの位食べるんですか」

メロン「・・・牛三頭程」

ガタリとそろ盤を落とす空鉄

空鉄「師匠・・・それじゃ二日も持ちませんよ・・・」

　　　「牛一頭いくらすると思ってるんですか！！」

　　　「金貨1枚ですよ！金貨1枚！！」

　　　「そんなんじゃいくら節約しても」

　　　「貧乏生活まっしぐらじゃないですか！」

メロン「まぁまぁ・・・空鉄君」

　　　　「あいつもたまにはどこかで自力で何かを獲りますよ」

空鉄「何かって・・・牧場襲ったり村襲ってたらどうするんですか・・・」

メロン「そこまで酷い事は・・・」

空鉄「明日は朝市回ったらすぐ依頼探しに役所に行きますよ！」

そろ盤を振り回しながら喚く空鉄

苦笑いするメロン

森に着くメロンと空鉄

メロン「ここらでいいですかね・・・」

　　　　「空鉄君、枯れ枝と杉の葉を取ってきて下さい」

空鉄「分かりました師匠！」

びしっと手を上げて返事する空鉄

メロン「私は・・・大き目の薪を」

二手に分かれて焚き火の準備をするメロンと空鉄

空鉄「杉・・・杉・・・っていうか暗っ！」

　　　「この暗い中でどうやって・・・」

　　　「ん・・・あれは・・・火の玉・・・？」

　　　「ひぃぃぃぃ・・・人魂ぁ！！」

絶叫しながらしりもちをつく空鉄

ゆらゆらと加速度的に近づいてくる灯火

空鉄「うぎゃあぁぁ！し、師匠ぉぉぉ！！」

メロン「どうしました！空鉄君！」

ランプを手に走り寄るメロン

空鉄「し、師匠・・・なんですかそれ」

メロン「え？ランプですよ」

　　　　「だって暗いですし」

空鉄「しかも師匠ヨモギ餅まで食べてるじゃないですか！！」

メロン「だって少しお腹減りましたし・・・」

空鉄「あー腰抜かして損した」

飛び上がりメロンの食べていたヨモギ餅を奪う空鉄

空鉄「よぼぎもみもひもみじめすうまんねひぼいげぶぼ・・・げほげほ」

メロン「空鉄君・・・そんな一口で食べなくても・・・」

空鉄「はぁはぁ・・・死ぬところでした・・・」

　　　「それよりも師匠！ずるいじゃないじゃないですか！」

　　　「自分だけランプ使ってるなんて！」

メロン「だってランプは一つしか・・・」

空鉄「もう二人で探しましょ！二人で！」

メロン「・・・そうですね」

薪を集め火を焚くメロンと空鉄

空鉄「師匠・・・黒皮遅いですね」

　　　「大国アシカガと言えば怪鳥の翼ならひとっ飛びなのに」

メロン「何か大事件でも起こってるんでしょうか・・・」

　　　　「まぁ朝までには戻って来るでしょう」

　　　　「さぁ空鉄君」

　　　　「雨除けを作りますよ」

空鉄「はーい」

大きな布を取り出し両端を木にくくり付けるメロンと空鉄

空鉄「師匠・・・黒皮ってどうやってここに戻ってくるんですか？」

　　　「僕らがここで野営してるって事知りませんよね？」

雨除けの下に陣取り焚き火にあたるメロン

メロン「はははっ・・・大丈夫ですよ空鉄君」

　　　　「契約を交わした怪鳥は」

　　　　「しっかりと怪鳥使いの匂いを覚えるものです」

　　　　「どこに居たって来てくれますよ」

空鉄「それなら安心ですね！」

　　　「さぁ明日は朝早いんだから早く寝ましょう師匠！」

　　　「早起きは老人の始まりって言いますし」

メロン「老人・・・？」

空鉄「僕は早く大人になりたいんです！」

メロンの横にぴったりと付き布をかぶり丸くなる空鉄

メロン「・・・私も寝ますか」

空鉄の背中をぽんぽんと叩くメロン

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　メロン空鉄時々私「ヨモギ餅」