隊長の事件簿 | 無責任隊長の業務連絡渼

隊長の事件簿



今年初デートまであと一週間。

2泊で湯布院の天然露天付き離れを予約済み。

由布岳の雄大な景色を眺めつつ、ビールを片手に温泉三昧。

うん、いいね。

楽しみだぜ。



「事件簿」

施設警備やイベント警備なんかを長いことやってると、とんでもない事件に遭遇することがある。

うちのビルで特に事件が多いのが、15フロアを占めるオフィスエリア。

誰もが知っている超有名企業から、謎だらけの胡散臭い会社まで、多数の会社が入居している。

そのオフィスエリアで俺や隊員達が遭遇した、記憶に残った事件をいくつか紹介しよう。


事案1

深夜巡回中、○階の女子トイレ内にて物音を確認。

声掛けするも、返答なし。女子トイレ内の立ち入り調査を実施。

奥の個室が閉まっていたため声掛け実施。

直後、個室から同フロア○○会社の男性役員が退出、オフィスに戻るのを確認。

本部に報告後、巡回業務に復帰。

備考・男性は衣服を着用していなかった。

以上.

翌朝、隊員から報告書を受け取ったものの、管理室には提出せず。

相手は日本を代表する大企業の役員。いろんな意味で後が怖いので、報告書は隊長席の秘密の小箱に封印。

朝礼にて、今後そのフロアの深夜巡回は慎重に行うよう口頭で指示。

長いものには巻かれるのが礼儀というもの。



事案2

深夜、屋上にて侵入異常発生。隊員2名急行。

屋上前の踊場にて男性1名、女性1名を発見。

男性は額から出血しているものの、意識及び呼吸は安定。

防災センターへ同行を要請、応急処置と聞き取り調査を実施。

両名とも、○階の○○会社の社員と判明したため、警察への通報は保留。

聞き取り調査後、男性が胸部の痛みを訴えたため、連絡先を確認して救急車を要請、女性が付き添い○○病院へ搬送。

聞き取り調査にて下記の通り判明。

2人で酒を飲んだ帰り、夜景を見るため屋上まで上がったが、扉には鍵がかかっていた。男性が扉を無理矢理開けようと体当たりしたが、足が滑って頭から扉にぶつかり負傷した。

備考・屋上扉の歪み、及び電気錠の破損を確認。早急な修理が必要。

以上.

2人とも大手広告代理店の社員で、既婚者。

男性は肋骨2本と鎖骨を骨折していたらしい。さらに扉と電気錠の修理費が80万円。

大怪我して大金を払い、揚句の果てにW不倫が会社に発覚。

男性は左遷、女性は退職。悲惨の一言。

お酒と社内不倫は慎重に。



事案3

深夜、○階の女子トイレにて非常通報発生。隊員2名急行。

女子トイレ付近にて同フロアの○○予備校の女子生徒を発見。

事情を確認すると、照明スイッチと間違えて非常通報ボタンを作動させたものと判明。

女子生徒の言動に不審な点があったため、同予備校のオフィスへ同行。

オフィスにて飲酒中の男性講師1名と女子生徒5名を確認。

声を掛けると、男性講師は慌ててその場を立ち去った。

生徒達が全員未成年者と判明したため、緊急連絡先の責任者に事情を報告。

駆け付けた責任者が生徒の保護者に連絡し、生徒全員の退館を確認。

以上.

お金持ちのご息女だけがが通うことを許された、某予備校の話。

成績アップのお祝いと称して、講師が生徒に酒を飲ませていたらしい。

もちろん講師はクビ。

その後、超大物○○の○○も○○していたことが判明。当然表ざたにはならなかったし、報告書も迷わず秘密の小箱へ。

長いものの手を煩わせてはいけません。圧力をかけられる前に自ら巻かれに行きましょう。礼儀です。

部下が目撃した、酔っ払った生徒達と講師が何をしていたか…いや、何でもない。



事案4

清掃員から○階女子トイレにて不審物を発見したと通報。隊員2名急行。

個室にて不審物を確認、盗撮用のカメラと判明。

清掃員によると前日は異常がなかったことから、仕掛けられたのは前日の深夜から本日の朝であると思われる。

当該個室を使用禁止にするとともに、全館の女子トイレの検査を実施。

検査の結果、異常見当たらず。

備考・カメラは指示があり次第撤去出来るよう、設備に手配済み。

以上.

カメラが見つかったのは、モデルの派遣事務所と旅行代理店が入居しているフロア。

旅行代理店が入居しているため、当初は一般客の仕業と思われた。

事態を重く見た管理室が警察に被害届けを出そうとしたところ、なぜか派遣会社の社長が猛反対。

すったもんだの末、テナントの意向を押し切って被害届けを提出。

事件に関わった全員の予想通り、派遣会社の社長と役員が姿を消した。

その後の調査で、モデル派遣の裏で裏DVDも取り扱っていたことが判明。

突然仕事を失ったモデルからの問い合わせが殺到したり、そのモデルの後ろにいる怖いお兄さん達が館内をうろついたりして、しばらく大変だった。



まだまだこんなもんじゃないんだけど…いっぱいあり過ぎて書ききれない。

ということで、またそのうちに。