伊藤肇氏の心に響く言葉より…
作家の五木寛之さんが「何事かをなすに必要なものは若さと貧乏」だといった中国の政治家の言葉を紹介し、「本当のハングリーとは、物質的に恵まれた生活の中にも、つねにやけつくような魂のかわきを意識している状態をいうのではないか。金がはいればたちまち変わってしまうようなハングリーではどうにもならない」といいきっていた。
企業もまた同じである。
専門用語でいえば、「不連続的緊張感を自らつくり出す力」をもっている社長にひきいられる会社は強い。
これは、一つの枠ができると、それを自分で壊して、また新しい枠をつくっていく能力である。
(中略)
ところが、慶応義塾大学の清水龍瑩(りゅうえい)教授は明快な結論を出している。
「組織も販売も、企業にとってはそれぞれに大事なことだけれども、何が最も大事かとなると、正直いって今までは測定できなかった。しかし、われわれはそれを測定する手法を開発 したのです。その手法に従えば、企業にとっての最大事は新製品の開発なんです。だから、 企業家精神が旺盛で新製品を絶えず開発していくような会社は業績もいいし、立派な企業 だ、ということになるのです」
企業の老化現象とは何か。
トップが現状を肯定し、「これでいいんだ」と思った時が、老化のはじまりである。
具体的には安定製品にのみ力を入れはじめた時だ。
現在の市場では、新製品の売上げが13パーセント、安定成長製品が80パーセント、衰退製品が7パーセントとなっているが、社長が安定製品にしがみつきだすと、途端に企業のバイタリティは低下し、やがて潰れる。
『帝王学ノート: 混沌の時代を生き抜く (PHP文庫 イ 1-1)』
「不連続的緊張感」を自ら作り出さなければならないのは、なにも企業のトップだけではない。
これは誰にとっても同じだ。
「越境学習」という言葉があるが、「境界を越えて学ぶ」という姿勢のことだ。
仕事をしながら、ボランティアで様々なコミュニティに出入りするようなこと。
いわゆる、ホームとアウェイを行き来する。
アウェイは誰にとっても居心地が悪い。
見知らぬ人と出会い、違和感を感じる環境で自らを鍛えていく。
つまり、居心地のいい「コンフォートゾーン」を抜け出すこと。
自ら自分の枠を壊すこと。
そして、ゼロからまたスタートする。
まさに「起業家精神(アントレプレナーシップ)」だ。
失敗を恐れずに果敢に挑戦する。
いくつになっても、挑戦し続ける人でありたい。