20年めの to be continue

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まだライブハウスをやる前、
WAVEというバンドを組んでた。
活動期間は1年足らずだったけど他のバンドマンから「ズルい」と言われるようなメンバー。
こんな言い方はおこがましいけど「最強メンバー」とも言われて(ほんの一部ではね)俺達も何となくそんな気になって活動してた。
 
荒井の住宅街の一角にある一軒家。そこがキーボードの自宅で毎週水曜日に集まっては曲作ったりミーティングしたり防音もなしに爆音で練習したり!そんな日々を繰り返して
不思議なぐらいドンドン曲ができた。
ライブはどのぐらいやっただろう?たぶん5~6回ぐらいだったかな?
ただそれはある意味デモンストレーション的な感じでレコーディングして音源作ってから本格的に活動しようと考えていた。
サウンドはハードでファンキー、でも俺が唄うので80sロックの匂いもするしコテコテのバラードもある。
こうやって文章にすると???だけどキャパシティーの広い音楽性は今でも充分通用する面白さがあったと思う。
 
そして俺がライブハウスを始めると同時にレコーディング開始。
順調に進んでいたのだが・・・
俺とベースが対立。険悪なムードが漂い始める。
そのクッション役になってくれたのがドラムだった。
彼はホントにムードメーカー。そして人を引きつけるチャーミングな笑顔を持っている。
何ていうか、彼といると幸せな気持ちになるんだよね。
だから対立があっても「まぁまぁ」と彼が入ると力んでた体から力が抜け、落ち着いた状態になった。
 
そうして暫く続いたレコーディング。
いよいよ数か月ぶりのライブも決まり、それに合わせて音源を出そうか!としてた矢先。
 
 
ドラムの彼は帰らぬ人となった。
 
彼が亡くなる数時間前まで一緒にいたこともありとても動転したし冷静でいる事は出来なかった。
 
 
深夜、病院からメンバーに電話したのを覚えてる。
「たいへんだ。〇〇が死んだ」
あの時メンバーが来るまでの時間がとても長く感じられた。
 
太田西病院の霊安室。
冷たくなった彼がいる。
でもこれは事実ではなく何か酷い冗談か嫌がらせのようでとても現実とは思えなかった。
 
「もういいから帰ろ」
 
 
でも
彼が動くことはなかった。
 
病院を後にする時、メンバーで何か話した気もするけど覚えていない。
ただその日の空はとても青くて綺麗に澄み渡っていた。
その青さが何だか虚しかった。
もうこの空の下に彼がいないことが虚しかった。
その時何故か「この空の色だけは覚えておこう」と思って数秒間青い空を見上げていた。
 
 
 
バンドは自然消滅的に解散した。
 
 
ヴォーカルはライブハウスを経営し、たまにバンドを組んだりしてる。
ベースはソウルバンドに加入。今やバンドの要だ。
ギターは昔から気心知れた仲間と純ロックなバンドを続けている。
 
1度だけ再結成した事があった。
あるバンドマンが俺たちの事が本当に好きでどうしてももう1回観たいと。
ドラマーにサポートメンバーを入れてライブした事があった。
悪くなかったけど、やっぱり違う。
ノリがタイム感が全然違ってた。
それに振り向くと彼の笑顔がない。
やはり彼がいないとこのバンドは成立しない事を思い知らされてしまう、そんなライブだった。
 
あれから2度とWAVEとしての活動はしていない。
もちろん仲が悪くなったわけじゃない。でも集まって会う事さえなくなってしまった。
 
 
そして今年
 
彼が亡くなって20年。
 
この節目の年に久しぶりに集まった。
桑野にある居酒屋。
ちょっと声かけたら皆んな二つ返事。なんだこんな簡単に揃うのかよ(笑)と思ったぐらい簡単にみんなOKしてくれた。
メンバー以外にも当時彼と仲よかった友達、同級生も!
そして彼のお父さんも!
 
お父さんはメンバーを見るなりウルウル。
特にギターは同世代という事もあり若干似てるところがある。彼を通して息子を思い出しているのだろう。
「みんな元気だった?今どうしてるの?バンドもやってるの?」
 
あの時
お父さんは苦しんでいた。
突然の我が子の死の悲しみとともに家族を守る強さを要求され心も体も疲弊していた。
不定期でメンバーや友達が集まってはお父さんとお母さんに寄り添い励ましていた。
 
そんな日々から20年の歳月が流れた。
 
顔を見て話せば一瞬にしてあの頃が甦る。懐かしいという感覚よりも「続いてる」感じ。
一緒に音を本気で出し合った者だからわかる・・・ かっこつけて言えばそんなグルーヴ。
酒が進むほどに楽しくなって行く。
一次会で帰るつもりがつい二次会まで参加してしまった。
もうこの頃になると同級生を差し置いてメンバーだけの時間帯。ずっと音楽談義。
そしてあの頃と同じようにオレはいじられる(笑)。
もう何だか泣きたくなるほど楽しい時間だった。
ベースは「毎回ブログ見てるよ。そりゃぁ見るじゃん」と言ってくれた。
20年はあっという間だけど2人を少しだけ大人にした気がする。
 
「じゃ また」
そう言って別れた。
次はいつ
誰もわからないけど 
必ず。
 
 

やっぱりバンドって良いなぁ
こうして集まって特別な酒が飲めるんだもの。
それがたとえメンバーが亡くなったとしても。
 
 
帰り道、
「またWAVEやっても良いかもなぁ」
 
そう言うオレを彼は青い空の向こうで笑ってる気がした。
 
 
今年最高の夜
今年最高の酒
 
20年めの to be continue