・すぐれた人格を感じ取り、それを尊敬するためには、
自分自身もまた、それなりの者でなければならない。
・たやすく獲得されたものは 私の気に向かない。
無理に手に入れたものが 私をひどく喜ばす。
・種をまくことは、取り入れほど困難ではない。
・人がわたしたちのところに来るのでは、その人を知ることはできない。
人がどういうふうであるかを知るためには、わたしたちはその人のところへ行かなくてはならない。
・経験したことは理解した、と思い込んでいる人がたくさんいる。
・人はみな、わかることだけを聞いている。
・私たちが読んだ善い思想、私たちが聞いた顕著なことを、私たちは日記に書き付ける。
しかし同時に、友達の手紙から独特な言説、独自な見解、ちょっとした才気のあることばなどを書き付ける骨折りをしたならば、私たちは非常に豊富になるだろうに。人は手紙を片付けて二度と読まない。人は慎重さから最後に手紙を破棄する。こうして最も美しい最も直接な生命の息吹きが自他にとって取り戻しようもなく消えていく。私はこの怠慢を償おうと企てる。
・古い基礎を人々は貴ぶが、同時にどこかで再び初めから基礎を築きだす権利を放棄してはならない。
・欺かれるのではない、われみずからを欺くのである。
・人間は現在をどのように生かしていいか知らないから、
未来に期待やあこがれをもったり、過去に媚を送ったりする。
・自分自身の心を支配できないものにかぎって、他人の意志を支配したがるものだ。
・結局、最も偉大な技術とは、自分を限定し、他から隔離するものをいうのだ。
・趣味というものは、中級品ではなく、最も優秀なものに接することによってのみつくられる。だから、最高の作品しか君には見せない。
君が、自分の趣味をちゃんと確立すれば、ほかのものを判定する尺度を持ったことになり、ほかのものを過大でなく、正当に評価するようになるだろう。
・考える人間の最も美しい幸福は、
究め得るものを究めてしまい、究め得ないものを静かに崇めることである。
・人間は、何を滑稽だと思うかということによって、何よりもよくその性格を示す。
・真理と誤りが同一の源泉から発するのは、不思議であるが、確かである。
それゆえ、誤りをぞんざいにしてはならぬことが多い。
それは同時に真理を傷つけるからである。