あの日、誰も気付かなかった。小さな扇風機が引き起こした奇跡を。
福岡市内のとあるマンションの一室。窓際に置かれた扇風機が、いつものように首を左右に振りながら回っていた。その日は少し風が強かった。扇風機が作り出す風は、開け放たれた窓から外へと漏れ出し、上昇気流に乗って思いがけない高さまで届いていった。
その小さな風は、福岡上空で渦を巻く気流と出会った。普段なら気付かれることもない小さな風が、この日は不思議な化学反応を起こした。上空の風は、まるで扇風機の首振りに合わせるかのように、ゆっくりと大きな円を描き始めた。
そして、その風の渦は、福岡の空に溜まっていた靄を少しずつ掻き分けていった。まるで巨大な扇風機が空気を掃除しているかのように。
地上では、博多どんたくの準備が着々と進められていた。誰も空を見上げる余裕などなかった。しかし、パレードが始まる頃、人々は気付き始めた。いつもより空気が澄んでいることに。
山笠の飾り幕が風に揺れ、鮮やかな色彩が例年以上に映える。どんたく隊の衣装の細部まで、遠くからでもくっきりと見える。祭りの音楽が、澄んだ空気を伝わってより清らかに響く。
「今年は特別きれいね」
「こんなに空気が澄んでるの、珍しいわ」
誰もが口にする言葉だった。
しかし、この奇跡の原因が、とあるマンションの一室で回り続ける小さな扇風機だとは、誰も知らなかった。扇風機は、ただ黙々と首を振り続けていた。時々、天井に向かって送る風が、まるで空の風たちと会話でもしているかのように。
その年の博多どんたくは、人々の記憶に特別な祭りとして刻まれることになった。空気が澄み渡った青空の下で、より一層鮮やかに輝いた祭りの光景として。
そして、扇風機は今日も静かに回り続けている。また次の奇跡を起こすその日まで。
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