一昨年の話なんだけどね。
職場にとんでもなく汚れた「老猫」が来たんだ。とにかく「汚い」んだ。
野良猫なんだけどさ、「ニャー」って鳴きながら近づいて来たんだよね。 普通は野良猫だから、人の影さえ見れば一目散に逃げるんだよ。ところが、このネコ逃げるどころか、近づいて来たんだ
あれ?と思いながら、呼んだんだ「おいで」って。
毛並みは汚れてボサボサで毛玉になってるしね。触るのも躊躇する位・・・。
でも、寄って来てしゃがんだ自分の足に擦り寄ってくるんだ。ガリガリに痩せててさ、まさに、骨と皮だけのネコ。
持ち上げると、無茶苦茶「軽い」。お腹空いてるらしく、か細い声で「ニャー」って。
エサあげたらね、食べるんだけどさ・・・うまく食べれなんだなぁ。 キャットフードは硬いから食べにくいんだろうと思い。
缶詰のマグロあげたらね、美味しそうに食べてたんだ。やっぱり、お腹空いてたんだね。
自分の顔を見上げながら、時折「ニャー」って鳴きながら食べてたよ。
ネコ語は分からないけど・・・・「ありがとう」って解釈した^^。 「いいから、ドンドン食べなよ」って、いつの間にか「会話」してたよ(笑)
「どっから来たの?」とか「お前、痩せてるなぁ」とか「何も食ってなかったのか?」とか「いいから、ゆっくり食え」とかね(笑)

そんなこんなで、毎日、来るようになったんだ。
其の度に、缶詰のエサを用意するようになってたんだな(笑)
たまに、来ない日もある。こういう時ってね、心配になっちまう(笑)  死んだのかな、車に撥ねられたのかな・・・いろいろ心配になるんだ。
休憩時間に・・・近辺を探してる時もあるんだ^^。  野良猫なのにね(笑)
「お前、汚すぎるから洗ってやるよ」ってなもんでさ、白湯(さゆ=温いお湯)で洗ってやると・・・骨が浮き出てるし(笑)
こんなに痩せてるから、このままだと風邪引きになっちまう。だからタオルで拭いてやってさ^^。
いくら夏とはいえ、風が冷たい時もあるしね^^。 歩くのにもかなり大変そうなんだよ。
何処から来たのか知らないけど・・・・。
ほとんど、毎日来るようになったんだ。歩くのにも不自由してるからと思ってさ、ダンボールの空き箱で「家」を作り職場の脇に置いてやったんだ。
素直に入って寝るようになった。朝、出勤すると・・・ヨッコラ、ヨッコラって感じで出て来て挨拶するんだよ。か細い声で「ニャー」ってね。
毎日の「日課になった」(笑)
そうだなぁ・・・・1m歩くのに、足をひきづった状態で30秒位かかるんだ。
そんな身体して、何処に行くのやら・・・。 時々居なくなる。まぁ、トイレだろうと思うが・・・分からない。


2~3ヶ月位しただろうか、初秋の頃かな? 何日か来なくなったんだ。
そうだなぁ・・・何日かじゃなくて、2週間位かなぁ・・・・。
エサもあれじゃ、捕れないだろうし、かといって、空腹じゃ死んじゃうしね。 水飲む事は出来ても、食べる事は難しいだろうに。
もう死んだと思ってたしね^^。


そうしたら、何と!! 来たではないか! 遠くに私を見つけて鳴いているのか・・・口パクやってる。
声は自分には聞こえないが「ニャー」ってか細い声で鳴いているんだろうな。
「おいで!!」「メシ食ったのか?」とか・・・声掛けた(笑)
相変わらず・・・遅い。足をひきづるように歩いてる。 小走りで歩いてる。 でもこのネコにとっては「全速力」なのである。
「いいから、ゆっくり歩け」って声掛けると・・・口パクで「ニャー」。
近づいて来て、口パクと思っていたら・・・・本当に声が出ていなかったんだ。
それ位、弱っていたんだ。 前にもまして、歩きは遅い。てか、遅すぎる。
喜んで、擦り寄ってくる。 口パクで「・・・・」「・・・・」イイながら・・・・私の膝に擦り寄ってくるんだ。
目ヤニでいっぱいの「目」。血が混じってる。 口からはヨダレが止めどなく・・・流れてるし。
明らかに、状態は最悪なんだよね。
濡れティッシュでふき取り、目薬をさしてやり・・・缶詰のエサをあげた。  でも・・・少し口に含んでは止めた。
もう、食べる事が出来ないんだ。 歯はもう・・・なくなってるんだよ。
見て直ぐ分かる・・・・病気にかかってるんだ。  可哀相だが・・・・どうする事も出来ない。
自分の目から見ても・・・・・もう、助からないと思った。


「お前、死ぬ時はこの箱でな」「他に行って死ぬとカラスやトンビにやられるからな」と話しかけた。
「俺がちゃんと土に返してやるから」だから、死ぬと分かっているなら「ここで死ねよ」って話しかけた。
自分の顔を見上げながら・・・眠ってた。

また・・・居なくなった。 今度こそ、もう来ないだろうと・・・思った。
2~3日して、また来た!! でも、何か変だ。 歩けない状態だ、這って歩いてる状態なのだ。
駆け寄って、抱き上げた・・・・臭い! はっきり言って・・・死臭だ。  抱き上げた時「ニャー」って鳴いた。ちゃんと声が出てた。


でも、何か変? 何と!目が見えないんだ。 耳からは「膿」目ヤニも酷い。それでも、擦り寄って来る。
撫でてやりながら・・・「お前、こんなになってるのにどうやってここまで来たの?」「腹へってない?」「のどか渇いてないか?」って話しかけた。
力を振り絞りながら「ニャー」って・・・・。 エサや水をやるが・・・食べようとも、飲もうともしない。
もう・・・歩けないんだよ。 それでも来たんだ。何でだろう・・・と思った。


エサと水を箱の前に置いて帰宅した。 朝・・・見たら居ない。 歩けない状態なのに・・・居ないんだよ。 周囲を少し探したけど・・・・居ないんだ。

たぶん・・・ネコ語は分からないが、自分に「お礼」しに来たんだと思う・・・・。
最後の力を振り絞り・・・。来なくていいのに・・・・あんな身体で・・・。


ネコは自分の最後を知ってたのかも知れない・・・。
歩けないのに・・・目が見えないのに・・・。 臭覚だけで・・・?

今度産まれて来たら、またおいでよ。って・・・。
言葉が分からなくても・・・「ネコの気持ち」は・・・・・分かる。・・って言うか、分かってあげたい。


あれから・・・・2年だ。 成仏して欲しい。