映画ハード・デイズ・ナイトではキャント・バイ・ミー・ラヴが2回使われているが、片方(警察署のシーン)は新曲にすべきだとジョージ・マーティンは考えた。ビートルズはそれ用に「僕が泣く」をレコーディングしたが監督のレスターが却下した。当時Disc誌でマーティンが語っていた
他に、たとえばRecord Mirror 6/27号にもこの曲が映画からカットされたことが書かれており、この曲が本来は映画用だったことはこうした複数の記事や関係者の発言で裏付けられている。
映画ではキャント・バイ・ミー・ラヴが2回使われているが、2回目の警察署の場面をこの新曲に差し替えるべく、その場面と長さ/時間を合わせたロングバージョンをジョージ・マーティンは用意した。
イギリスよりも先にアルバムを出すアメリカにその長尺版のテープが送られ、ユナイテッドアーティスツによりアメリカ盤の制作が進められたが、映画では監督のリチャード・レスターがその場面の曲を差し替えることを拒み採用されなかった。
だが時すでに遅く、アルバムの曲目は変更できなかったためにそのままリリースされ、米盤にはこの曲のロングバージョンが収録されることになった。
競合のキャピトルにもロングバージョン(モノラル)が送られており、ユナイトのサントラ盤の対抗馬、『サムシング・ニュー』の冒頭の曲として使われた。
あとから作られたレコード用のモノミックス、そしてステレオミックスでは、映画の場面に合わせた長さにする必要がなかったからだろう、ジョージ・マーティン(おそらく)がアルバム用に適切と考える長さのショートバージョンに編集されてリリースされた。
リアルタイムでの米国以外ではこのショートバージョンが標準となっているが、ロングバージョンも二度のアメリカ盤CD化の際に復活し、配信でも、Apple Musicだけだが聞くことができる。