先週がバタバタしていたので、昨夜は自宅でゆっくり過ごした。
椅子に腰かけてぼーっとしながら考え事をしていたのだけれども、いけないいけない、半年に一度くらいはやってくる「自分の音楽が欲しい」みたいな思考に陥った。
僕ってさ、今現在色々なバンドでベースギターを弾いていて、それこそ月に何度かライブをやって(勿論日本には僕よりライブをやっている人間なんてごまんといるだろうけれど)大いにバンド活動を楽しんでいる。僕の周りには面白い事を考える人間が沢山いて負けないように面白い事をやるのがとても愉快だし、彼らの「思いつき」に僕が組み込まれているならそんなに有難い事はない。
遠征に行ったり来たりで日本各地に友達が出来たし、ライバルと呼んでもいいような、そいつが今日もどこかで演奏してるってだけで自分も奮起出来るようなそんな友人さえ出来た。
ライブハウスで「格好良かったです!」って声をかけて頂いたり、見ず知らずの方にもお声をかけて頂く事が昔と比べても随分と増えた。物販やフロアの片隅で声をかけて頂いて、それがどんどんまた面白いお話に繋がっていく事もあった。ライブ直後に出演オファーを頂くのって、あれって普通に考えても凄い事だよね。物凄く嬉しい。
CDショップに行けばひょっとしたら自分の携わったCDが棚に並んでいるし、メンバーの体調や諸々で今はほとんどライブをやっていないバンドにしても未だ西に東に出演オファーを頂く。これも普通に考えても物凄い事。
ラジオや公的なスタジオからのUstream配信、フリーペーパーや雑誌への掲載、これも高校時代にベースギターを握っていた頃の自分からは想像も出来ないだろうし、28歳になっても大学2年生の頃に当時やっていたバンドで多治見のFM局のインディーズ番組に出演した時と何ら変わらない精神的興奮を感じるのだ。
忘れられもしないワンマンライブだって、やった。一ベーシストのワンマンライブ、それに果たしてどれだけの方が来られるか不安ではあったが、同日素敵なライブイベントが沢山行われていた中120名を超える多くの、その日の僕にとってはこれ以上ない程多くの多くの方が会場に足を運んで下さった。
他にも、色々と普通では見られないような光景、感じられないような感覚、そして得難い出会いを沢山したし、何より自分自身を尊重出来るようになったと思う。
僕ってさ、だから本当に恵まれてると思うのだ。勿論この環境に至る過程、全てが全て恵まれていたなんて思わない。僕自身の行動の結果だとも思うけれども、それでもバンドメンバーや周りの方々がそんな僕を面白がってくれたっていうのは大きいと思う。
それにしても、恵まれている。本当に。
それでも、それでも半年に一度は「自分の音楽が欲しい」って思ってしまう。
今までも多くの曲にライブでCDでベースギターを使って自分自身を焼き付けてきたのに、それを多くの人が楽しんで何より僕自身多くの自己実現を果たしてきたのに。それでも僕は他の「人間」の中から出てきた音楽に自分が共存するだけでは満足出来ない、と言っている。自分の言葉と自分のメロディ、否、そこまでしっかりしたものでなくてもいい、自分の中から出てきた何かが具体化される事を妄想しては、それを欲してしまう。
自分の中から出てくるものっていうのはないし、矜持はあるけれども「音楽性」はない。
それでも100%自分の中から出てきたものが多くの人に受け入れられる瞬間が見たくて「俺もいつかは」なんて考える。やるわけがないしやれる、っていうかやってとも面白いと現状思ってないのだけれども。
だから「自分の音楽」ではなく「自分が作品」になるしかねえな、結局な!ってなるのは毎回の事。お前、それつい一時間前までは胸の中にあった決心だろうがよ、って一人自室で再認識。
今年は課外活動とか一度限りのサポートのお話とか色々誘って頂く。「面白い!」と今まで通りガンガンやってたら、僕の活動を身近で見、応援してくれている方が「君は自分が思っている以上に周りに認知されているし、影響力があるんだよ」とやんわりと「何でも屋にはなるなよな」と釘を刺してくれた。身近であるが故に、恐らく誰よりも僕が本当に「こだわらない」事を、「人で選んで」やっている事、そしてその行為の持つ「リスク」をわかっておられるからだろう。有難い。
そして別の友人からは「君はそういう自分の立ち位置を踏まえたうえで、どんどんフットワーク軽く動き回るべきだよ。そうでなきゃ」とも言われた。
二人のアドバイスってそれぞれ「慎重に考えてやんなよ」ってのと「ガンガンいこうぜ」ってくらい真逆に聞こえるのだけど、実際は全く同じ事を言っているように思える。
ぼんやりとだけど去年はワンマンライブでベーシスト、ベース・ギターリストとして一応の一区切りをつける事が出来た。今の僕はあれを踏み台、叩き台にして次の段階へ向かうべく今日も元気にベースを歪ませている。
今年は、「エンターティナー」として何か一区切りつけたいな、と思っている。いつになるかわかったもんじゃないけれど。
僕には音楽で伝えたい事とかメッセージとか微塵もないのですが、それでも僕がやっているバンド活動、その他の活動、或いは僕自身が貴方の人生に彩りを添えらなら、こんな嬉しい事はありません。
僕は僕がひょっとしたら面白い事をやり得る、面白い人間であり得ると信じています。