そしてこのゲームのキモとなるのが、スコア算出に使う数字を増やせる成長要素だ。先ほどスコア算出の計算式を説明したが、これはあくまで初期値。ステージクリアによって得られるポイントを使って、この倍率や初期値を強化できる。


 代表例はスコアに恒常的な影響を与える「ジョーカー」だ。ジョーカーは各ステージのクリア後にアクセスできるショップなどで入手でき、種類ごとに効果が異なる。例えばシンプルに倍率を常に+4したり、スペードのカードを場に出すごとに倍率を上げたり、特定の役のときだけ初期値を+50したりできる。その種類は150以上あり効果も多種多様だ。


 つまりジョーカーを使うと、先ほど説明した計算式が「役ごとに設定されている初期値+カードに書かれている数字の和+ジョーカーによるボーナス」×「役ごとに設定されている倍率+ジョーカーによるボーナス」などになる。


 そしてジョーカーは最大5枚まで(これもジョーカーの効果で増やせるが)あり、それぞれの効果を組み合わせられる。そうするとどうなるか。スコアが数万とか数十万とかとんでもない数字になる。スコア算出時には軽快な音楽やアニメーションなどの演出で盛り上げるため、とにかく気持ちいい。ジョーカーの組み合わせによっては「フルハウスより(スコアが)強いツーペア」とかも出てきて愉快だ。


中毒性が尋常じゃない 気づいたら経過した10時間


 強化要素は他にもある。トランプのカードは後から増やせるし「これを出したら倍率に+10」「これが手札にあったらスコア1.5倍」みたいな特性も付与できる。また役が持つスコアの初期値や倍率を強化する「惑星カード」や、「スペードの5をハートのクイーンに変える」「カードのスートを5枚までダイヤにする」といった効果が使える「タロットカード」もある。やろうと思えば「クイーンめっちゃあるからスリーカードとフォーカード出しやすいデッキ」とかを作れるわけだ。


 巧みなのが、これらの強化要素が手に入るかもランダムな点。ショップは全てのカードが売っているわけではない。ジョーカーは数枚ずつしかショップに並ばないし、タロットカードや惑星カードはトレーディングカードゲームのような「パック」をポイントで買って手に入れる仕組みだ。詳細は省くが他にも強化のために使える要素は複数あり、それらを適宜組み合わせればスコアはどんどん大きくなる。


 一方で、求められるスコアはステージごとにどんどん高くなっていくし、中には「スペードが使えなくなる」みたいな縛りを課してくる場面もある。そういう局面を想定したり、時には「ハートだけは縛るな……!」と祈ったりしつつ、ポイントをやりくりしながら、デッキを改造し、スコアを大きくしていく。でもスコアが達成できなくなったら、強化はリセットされ、最初からやり直し──というのがBalatroのおおまかな流れだ。