秋の訪れと共に
コバルトブルーの露草が街路樹に群生していた。朝露に濡れ、葉脈に残る水滴が朝日に照らされている様子は正にその名の通りであった。昨日朝の散歩のことである。露草以外にも彼岸花やマリーゴールド等、色鮮やかな低木や、クヌギから落ちたドングリの様子から、秋の訪れを感じずにはいられない。紅葉ももう少ししたら見頃になるのかなぁ。 昨日ノーベル生理医学賞が発表された。MITビクター先生らの研究「マイクロRNAの作用機序解明」についてである。 マイクロRNAはあまり聞き覚えがない方も多いと思うが、DNA,RNAと比較して塩基数が小さく、20塩基ほどの小さな1鎖のRNAなのである。マイクロRNAの主な機能としてmRNA(干渉により働きを阻害)の分解、翻訳阻害を担うことで遺伝子機能を抑制する働きを有する。つまり、細胞の分化発生など”成長”を制御する因子である。マイクロRNAはタンパク質を合成する機能を持たないため、従来は無駄なRNA(ジャンクRNA)として考えられていたが、これらの機能が発見され、現在では新たな治療標的として、またバイオマーカーとしての応用が期待されている。ちなみに同様の機能を有する外来の2本鎖RNAであるsiRNAは2006年に、その発見者であるアンドリュー氏とクレイグ氏へノーベル生理医学賞が授与されている。小さい核酸はその不安定さから発見やその機構解明が難しいのだ!これらRNAは遺伝子に直接介入できるため、がん細胞など遺伝子のイレギュラーを排除することが期待できる。治療薬としての開発推移も著しく、今回の受賞によってさらに加速するだろう。