天啓聖典の一つヤジュルヴェーダのカタ・ウパニシャッドには、死神(ヤマ)を訪ねた少年ナチケータスの有名な話がある。

 

ヤマに3つの願いを叶えてやると言われたナチケータスは、2つの願いを叶えてもらい、最後の3つめに「人は死ぬとどうなるのか教えてほしい」と頼んだ。

 

ヤマはナチケータスに言った。

「神々さえもこのおきてを理解することは容易ではない。富でも長寿でも享楽でも、どんな願いでも叶えよう。だから、死後のことは聞かないでほしい。」

 

ナチケータスはそれでも諦めなかった。

「享楽は束の間のこと。長生きしても一生は短い。あなたに会うときには富を持ち続けることも出来ません。死後のことを知ることだけが、私の願いなのです。」

 

ナチケータスの聡明さに感激したヤマは彼に教えを説いた。

 

現代では、健康と富に恵まれて人生を楽しみたいと誰しも願うところだが、一方でそれが永遠に続かないと知りながら、どうして良いか分からない人も多いのかもしれない。