神前会議で生き物達が訴えた。

 

「私は何の罪もない幼い我が子を殺され、食べられてしまいました。どうか、そんな極悪非道な生き物に天罰を与えて下さい。」

 

また、別の生き物は、「私は住処に毒を撒かれて、家族も親戚も皆殺しにされました。どうかそんな残虐な生き物に苦痛を与えて下さい。」

 

そして、慈悲深いはずの大地の神様さえも怒りを露わにした。

 

「全ての生き物は私から必要な分だけもらって生きているのに、その生き物は必要以上に私から奪い、自分の都合で多くの生き物達を殺しています。そんな恩知らずな生き物は破滅させましょう。」

 

戦と武器の神様は言った。

「それならば、私にお任せ下さい。彼らを互いに憎しみあい、戦わせることで殲滅させてみせます。」

 

他の神様から異論が出た。

「それでは、罪のない生き物達まで巻き添えになってしまう。他に何か良い方法はないか。」

 

疫病の神様が言った。

「それならば、私の出番です。その生き物だけに疫病を流行らせて、皆殺しにしてみせます。」

 

それに対して、愛の神様が言った。

「私にとっては、どの生き物であっても、幼い子供を失うのは辛いのです。どうか幼い命だけでも助けて下さい。」

 

議論の末、神々の王は結論を出した。

「その生き物の罪は万死に値する。ただし、今回は愛の神に免じて子供達の命を奪うことは極力避けたい。疫病の神よ、お前は余命の短い者に限って命を奪い、その他の者には苦痛を与えよ。以上」