千葉大作さん

 

2007年1月15日午後7時50分頃、京都精華大学マンガ学部1年生の千葉大作さん(20)が学校から自転車で友人宅に向かう途中に京都市左京区岩倉幡枝町を通る幹線道路の暗い歩道で何者かに殺害された。現場となった幡枝町は京都精華大学からは、南東およそ600メートル、叡山電鉄木野駅からは南に100メートルほどの田畑に囲まれた閑静な住宅街だった。

 

千葉さんは犯人と現場で鉢合わせしたところで何らかの理由で口論になったとみられ、その後に道路脇の畑まで追いかけられて、幅約1~2cmの小型の刃物で胸や腹など全身十数か所を刺され、死亡したと考えられている。犯行直後に、第一発見者の通行人が自転車で通りかかって、千葉さんを発見した時には未だ意識があり、刺されたことを訴えて、警察への通報を依頼していた。

 

午後7時52分、事件現場に到着した救急隊員によって千葉さんは病院に搬送されたが、搬送先の病院で間もなく死亡が確認された。そして、通報を受けて駆けつけた下鴨警察署員に千葉さんは「犯人は面識のない人だった」と被害者は述べていた。犯人と被害者は顔見知りではなかった。また、第1発見者が千葉さんを見かけた際、不審な男が畑を背にして車道に座り込んでいた。

 

その不審な男は千葉さんに向かって顔や上半身を左右に振りながら、大声で「アホ」「ボケ」を繰り返しながら暴言を吐き続け、興奮していた。男の年齢は20~30歳くらいであることや、身長は170~180センチであること、髪はボサボサで、服装は黒っぽい上下であったされる。加えて外斜視で目の焦点が合っていないこと、外国製の登山靴を履いていたことが分かっており、かなり特徴的だ。

 

犯人の似顔絵

 

男が興奮していた理由は不明だが、当時千葉さんは自転車で歩道の右側を走っており、男はママチャリ風の自転車で左側を走っていたところで鉢合わせになり、おそらく双方の通行をめぐって口論になったとみられる。そこで、男が激昂し犯行に至ったのではないかとみられている。千葉さんは明るい性格でクラスのリーダー的な存在で、知人らは「トラブルなど聞いたこともない」と話している。

 

特徴的な犯人像に加えて近隣住民である可能性が高いため、犯人はすぐに特定されるものと思われていたが、15年経った現在でも犯人は捕まっていない。だが、この事件は小金井アイドル殺傷事件の岩崎知宏受刑囚が犯人である可能性も示唆されている。状況証拠としては、外斜視であることなど身体的特徴が類似しており、事件当時、現場から8キロ離れた太秦に居住していた。

 

岩崎知宏受刑囚

 

しかし、ネット上の情報を警察が知らないわけがない。岩崎受刑囚がこの事件の容疑者として浮上しているなら警察は内偵を進めているだろう。また、犯人が海外逃亡や死亡した可能性もある。いずれにしても、被害者や遺族のためにも、犯人が早く逮捕されることを祈るのみだ。警察は現在、犯人とみられる男の情報を求めており、この事件は捜査特別報奨金制度の対象となっている。