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安倍晋三首相は昨年12月27日にハワイの真珠湾を訪れ、75年前に旧日本軍が行った奇襲攻撃で犠牲になった米国軍人たちを慰霊した。一部のメディアや識者から「真珠湾で日本軍の攻撃について謝罪や釈明をすべきだった」という主張もなされた。結局、安倍首相は「和解の力」を強調し、日米同盟の深化と不戦を誓って特別な謝罪は口にしなかった。

日本人はみな、「米国は真珠湾攻撃を卑怯だと怒り、リメンバー・パールハーバーを合言葉に米国国民が団結し、日本に立ち向かった。騙し討ちをするような日本だったから原爆投下も正当だと米国は主張している」と学校で教わってきた。従って、私も真珠湾に行くなら謝罪を余儀なくされるから「真珠湾など行かない方がよい」と考えていた。だが、安倍首相は初めから「謝罪は必要ない」と考えていたようだ。

安倍首相は「真珠湾攻撃は当時の国際法にのっとった戦闘であり、しかも日本海軍は民間人を一切、狙わず、戦争犯罪ではない」と認識していたという。米国人の真珠湾攻撃には、二通りの捉え方あるらしい。ひとつは私たち日本人が考えているように真珠湾攻撃を卑怯だとして、日本を憎悪するという捉え方。もうひとつは日本軍を稀なるフェアな存在として正当に扱い、リスペクトするような捉え方だ。

事実、アリゾナ記念館の入口には「アジアで日米の衝突は避けられない状況になっていた。旧世界秩序は変わろうとしていた。ふたつの新興勢力、つまり米国と日本は国際舞台で主導的な役割を果たそうとし、それぞれがより一層の国益を追求していた。両国は戦争を避けようとしたが、真珠湾で衝突することになった」と書かれている。実に客観的かつ公正な見方ではないか。

またビジターセンターでは「日本の資源輸入路を米国が封鎖したことから、やむなく日本は戦わざるを得なかった」と開戦の理由を解説している。そこには中国や韓国が用いる常套句の「日本軍国主義」とか、「日本の侵略戦争」といった表現はない。当時、日本軍と戦った多くの米軍兵士は「日本軍は素晴らしく訓練されていて、民間人や民間施設は一切攻撃せずに、我々とフェアに戦った素晴らしい人々だった」と評価している。

そして、戦艦ミズーリには、特攻で上半身が千切れて甲板に転がってきた日本のパイロットを戦中に米国の正式な海軍葬で弔った事実が展示されている。それは自らの軍を騙し討ちにした憎き敵兵への扱いではない。多くの米軍兵士が「日本軍は勇敢で、その攻撃は見事だった」と証言している。だからこそ米海軍は死んだ日本軍の兵士を丁重に弔ってくれたのであろう。

しかし、日本人には俄かに信じがたい事実だ。日本軍は宣戦布告が遅れ、米国人は卑怯な奇襲と思っているのではないのか。実は第二次世界大戦における各国の宣戦布告状況は非常に複雑で、第二次エチオピア戦争や日中戦争などでは正式な宣戦布告は行われていない。宣戦布告を行った国もないではないが、戦端の口火を切ったナチス・ドイツは全ての戦線で正式な宣戦布告を行っていない。

さらにいえば、朝鮮戦争以降、いろいろと理屈をコネねても宣戦布告による戦争が行われたことはない。イギリスのフォークランド戦争も宣戦布告はなかったし、中国もインドに宣戦布告したことはないし、ソ連もアフガニスタンに宣戦布告していない。米国自身、朝鮮戦争、ベトナム戦争、パナマ侵攻、ソマリア侵攻、湾岸戦争、イラク戦争、アフガン戦争と一度も宣戦布告はしたことがない。

つまり、宣戦布告をしないことが卑怯だと国際社会が捉えていないということだ。現に真珠湾攻撃が開始される数時間前、マレーにおいて日本軍との戦端が開かれた英国では、日本の「騙し討ち」や「卑怯」など批判はされていない。だが、真珠湾攻撃の後、ルーズベルト大統領は国民に日米開戦を認めさせるため「宣戦布告のない卑怯な攻撃だ」「真珠湾を忘れるな」と宣伝したことが今でも影響している。

「日本との戦争は対独戦に参戦する口実を欲しがっていたフランクリン・ルーズベルトという狂気の男の願望だった」とハーバート・フーバー第31代米国大統領が批判していたことを米歴史家のジョージ・ナッシュ氏が、これまで非公開だったフーバーのメモなどを基に著した 「FREEDOM BETRAYED(裏切られた自由)」 で明らかにしている。

「日本軍の騙し討ち」を米国政府が否定せず、米国国民が信じることは米国の国益にかなうことなので、それは仕方がない。だが、そのことで国益を損ねる日本人までもが、真珠湾攻撃から75年経った今でも「卑屈な歴史」を学校で教えられ、マスメディアが恣意的な情報を流した続けた結果、当時の日本人は悪かったと思い込み、日本人は懺悔し続けている。

なお、未確認ながら日本時間の1941年12月8日11時45分、日本政府は、米英加豪4か国の駐日大使を呼び「宣戦布告書」を手渡していたとの情報もある。アリゾナ記念館のビジターセンター展示館にどういことが書かれているか、ルーズベルト大統領がどういう男だったかを知れば、日本国民は「日本軍が卑怯なことをした」という刷り込みから目覚めるのではないか。私たちの先人は誇らしいのだ。