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山形の一部の地方にはムカサリ絵馬と言う死後結婚の儀式があり、結婚前に若くしてなくなった故人にあの世での伴侶を絵馬にしておさめる。その思いは、せめてあの世で好きな人と連れ添わせてやりたいと親の切実な願いから行われる。
 
このムカサリ絵馬には、ルールがあって婿の方は実在した故人を描くか、その写真を使うが、嫁の方はあくまで架空の人物ということになっている。従って、嫁には名前はなく生きている者の名前を描くとあの世に連れてかれてしまうと信じられている。ムカサリ絵馬には、戦争で亡くなった人に捧げられたものなども多く、死後何十年も経った後で奉納されることも多い。
 
ムサカリとは結婚を意味する方言のようで、「迎える」とか「結ぶ」あるいは「娘(む)が去る」が語源らしいがはっきりしない。しかし、ムカサリ絵馬を奉納する習慣は古い日本の宗教観を知る上で強烈な印象を受ける故人供養の形態である。このムカサリ絵馬が奉納される寺院は山形県天童市の若松観音や山寺の立石寺が有名である。


日本の情緒的なムカサリ絵馬と言う死後結婚に対して、中国山西省の農村部一部地域では、「陰婚」とよばれる風習がある。こちらは日本人からすると、かなりおぞましい。独身男性が亡くなった時に、こちらも日本同様に死後結婚を行うのだが、未婚の女性の遺体を使う。陰婚あるいは冥婚と呼ばれる。埋葬の前には陰婚式なるものを挙げるのが通例で、山西省あたりではいまだ盛に行われているという。

 
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遺族は、陰婚を挙げるために未婚の女性の遺体を購入する。 しかしながら、未婚の女性の遺体などそうは入手できるはずもなく、遺体斡旋業者は遺族の弱みにつけ込んで高額な値段で女性の遺体を売りつけることになる。例えば、未婚女性の死体一体は3.5万元(約56万円)くらいが相場らしい。 これだけ高額になれば、女性を殺害して、その遺体を売りさばこうと考える輩が出てくるのが中国だ。 
 
殺害されるのは、知的障害をもつ女性たちだ。ちなみに、嫁いだことがなく、老いて亡くなった女性の死体が多く5000元とお買い得だ。山西省は鉱山事故などの多発から大勢の若い死者が多く、遺体の売り手市場のようだ。毛沢東主席の統治時代、このおぞましい風習を撲滅しようと役人たちが奮闘したらしいが未だになくならない習俗らしい。