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訴えたいレベル 料理の強い「におい」に法的問題はある? 被害の補償は?

だるまじん
2021/09/05 14:53

訴えたいレベル 料理の強い「におい」に法的問題はある? 被害の補償は?

オトナンサー
2021/09/05 14:10

料理のにおいで法的問題に?

 秋は「食欲の秋」ともいわれますが、自宅で焼き肉をしたり、豚骨ラーメンのような「におい」の強い料理を作ったりすると、隣家や近所ににおいが漏れ、トラブルに発展することもあるようです。

 ネット上では「煙は迷惑かもしれないけど、においは問題ないのでは」「住宅街では控えるべきだ」「訴えてもよいレベル」など、さまざまな声が上がっています。料理のにおいを巡る法的問題について、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

「受忍限度」超えるかどうか

Q.においの強い料理を作る行為に法的問題はありますか。

牧野さん「においや煙などの被害を受けた人は一定の条件を満たせば、においや煙を発生させている人や会社に対して、人格権の侵害を根拠に民事上の不法行為責任を追及することができます。人格権侵害の不法行為責任を追及するには、被害のレベルが『受忍限度(我慢すべきレベル)』を超えていることが必要です。裁判所は受忍限度を超えているかどうかの判断基準として、以下の4つを総合的に判断するとしています」

(1)被害の性質:健康被害の有無

(2)程度・態様:悪臭の大きさ・時間帯・頻度・継続性(一般常識から大きく外れたものは、受忍限度を超えたと判断される可能性が高くなる)

(3)加害行為の公益性の有無:加害者が病院、学校など公共性を持つかどうか

(4)回避可能性:悪臭クレームに対する対応(防臭設備を付けるなど)の有無

Q.こうした行為はどの程度であれば、法的問題に発展しうるのでしょうか。

牧野さん「悪臭かどうかは人によって感じ方が異なります。基準を明確にするために悪臭防止法に基づき、『受忍限度』として各地域における臭気指数による規制値が定められています。東京都の場合は地域を『住宅地域』『商業地域』『工業地域』の3つに分け、それぞれ臭気指数による規制値を定めています。クレームを行うためには、まずは受忍限度を超えていることを臭気センサーなどの計測器によって、測定、定量化(数字化)する必要があります」

Q.隣家から、料理の強いにおいが漏れ、何らかの害を被った場合、法的手段に訴えられますか。

牧野さん「受忍限度を超えている場合は不法行為(民法709条)に該当し、被害者は加害者に精神的、経済的な損害の賠償を請求することができます。においや煙があまりにもひどく、それが反復・継続されたことで精神的な病気になってしまった場合、治療費に加えて、精神的損害に対する損害賠償を請求できる可能性もあります」

Q.隣人がにおいの強い料理を作ることを法的に止めることは可能でしょうか。

牧野さん「前述の『受忍限度を超えているかどうか』で判断することになるでしょう。悪臭が受忍限度を超えれば、近隣住民の人格権を侵害することとなるため、差し止め請求が認められる可能性があります」

Q. においに関するトラブルについて過去の実例・判例はありますか。

牧野さん「住宅街ではありませんが、ビルの一室を借りて、婦人服販売店を経営していた借り主が悪臭の問題で、ビルの家主に対し、債務不履行による損害賠償請求をした裁判があります。別の借り主が同じビルの地下1階で飲食店を始め、そこで発生した悪臭で、婦人服販売店が『営業上の損害を被った』と訴えたのです。

店舗の環境悪化により、顧客の購買意欲の減退などの被害を受けたことが認められ、約2年2カ月分の悪臭について、80万円の損害賠償請求が認められています(2003年1月27日、東京地裁判決)」