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タムロン「150-500mm F/5-6.7」レビュー Eマウント版以外も欲しくなる!

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2021/09/04 22:32

タムロン「150-500mm F/5-6.7」レビュー Eマウント版以外も欲しくなる!

マイナビニュース
2021/09/04 07:00

東京2020オリンピック・パラリンピックの開幕を前に、東京都心の空にブルーインパルスが飛行して話題になりました。機体とスモークを鮮明にとらえた写真をSNSで目にして、「超望遠レンズってすごい!」と思った人も多いのでは。そのような航空機の撮影も楽しめる超望遠域を広くカバーしながら、大きさや重さを抑えた超望遠ズームレンズがタムロンから登場。超望遠ズームで主流の100-400mmよりも望遠側に寄せた意欲作の使い勝手や描写性能を中心にレビューしました。

独自の「フレックスズームロック機構」が便利に感じた

このところの望遠ズームレンズにおけるムーブメントのひとつに、定番の70-200mmクラスよりもさらに長い焦点距離を持つ交換レンズが注目されていることがあります。これまで以上に迫力ある写真が撮りたい、遠くの被写体をさらに大きく引き寄せたい、より強い圧縮効果が欲しい、といったような要望の現れといえるでしょう。

タムロンが6月に発売した「150-500mm F/5-6.7 Di III VC VXD(Model A057)」も、そのような期待に応えるEマウントの望遠ズームレンズです。開放絞りはさほど明るくありませんが、超望遠域までをカバーするミラーレス専用の望遠ズームあること、そして鏡筒がコンパクトに仕上がっていることなどがポイントとなります。

鏡筒の大きさは、長さ209.6mm、最大径φ93mm、質量は1,880g(三脚座含む)となります。似たような焦点距離を持つ同社のAマウントレンズ「150-600mm F/5-6.3 Di VC USD G2(Model A022)」は長さ259.7mm、最大径φ108.4mm、質量1,955g(三脚座含む)となり、本レンズは数字以上にコンパクトで軽量に感じられます。もちろん、テレ端の焦点距離は違うものの、感覚的にはそれを考慮してもなおコンパクト、といった感じです。

ソニーのフルサイズミラーレスに装着したときのバランスも上々。今回の撮影では、フルサイズαのなかでもひときわ小型軽量な「α7C」を用いましたが、操作感が低下することもなく、超望遠ズームとしては使いやすく思えました。なお、フィルター径はφ95mmとなります。

操作感といえば、ズームリングを前後にスライドさせることで同リングのロックとアンロックが可能な「フレックスズームロック機構」は、とても便利に思えました。任意の焦点距離に固定することが可能で、ズームリングの不用意な動きを防いでくれます。特に、三脚にレンズを固定してあらかじめアングルを決めておく際に重宝すると思えました。スライド操作は固すぎず動きすぎることもなく、節度あるものに感じます。なお、本機構とは別に通常のズームロック機構も備えています。

精細な描写に不満なし、テレマクロ性能も優れる

光学系は16群25枚となります。レンズ構成図を見ると、同社お得意の特殊硝材であるXLDレンズやLDレンズ、さらに非球面レンズを効果的に配置しているのが分かります。実際、色のにじみはよく抑えられており、絞り開放からどの焦点距離でもヌケがよく、シャープネスの高い現代的な写りが得られます。絞りを開いて撮ることにためらいは必要ないと述べてよいでしょう。

周辺減光やディストーションも良好に補正しており、ズーム全域、またどの撮影距離でもスキのない写りが得られます。フィルムMF時代のズームレンズの写りを知るものとしては、毎度ながらとても驚かされることでもあります。ちなみに、最短撮影距離はワイド端0.6m、テレ端1.8mとしています。

AFが高速なのも本レンズの特徴です。レンズの名称に「VXD」とあるようにリニアモーターフォーカス機構を搭載しており、スピーディで高精度な動作としています。静粛性も高く、クラシックのコンサートなどカメラの作動音に神経を使うような撮影でも活躍してくれそうです。今回の作例撮影では、鉄道や航空機、船舶など動く被写体を狙ってみましたが、結果はたいへん満足できるものでした。超望遠域をカバーするレンズですが、AFに関するストレスはゼロと述べてよいでしょう。

強力な手ブレ補正機構VCの搭載も見逃せないところです。手持ちでの撮影の場合、焦点距離が長くなるほど正確なフレーミングがしにくくなります。そのようなとき手ブレ補正機構の威力は絶大で、ファインダーに映る映像が安定し、思ったとおりのフレーミングに調整しやすく感じます。手ブレ補正機構の動作モードは、鏡筒にあるスイッチで通常撮影と流し撮りで切り替えられます。

ほかのマウントにも展開してほしいと感じる超望遠ズームの佳作

画角と鏡筒の大きさ重さ、そして写りを考えると、とても完成度が高く魅力的に思えるレンズです。「FE 100-400mm F4.5-5.6 GM OSS」(実売価格は32万円前後)や「FE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS」(同278,000円前後)などのソニー純正超望遠ズームと比べると手に入れやすい価格帯であり、少しでも被写体を大きく写し止めたいEマウントユーザーは注目してほしく思えます。

タムロンに期待したいのは、キヤノンRFマウントやニコンZマウント用のレンズもぜひリリースしてほしいこと。大人の事情があったりするようですが、ぜひ同社には解決していただき、本レンズの写りの凄さやハンドリングのよさをEOS RシリーズのユーザーやZシリーズのユーザーにも味わってほしいと思います。

著者 : 大浦タケシ おおうらたけし

宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、雑誌カメラマンやデザイン企画会社を経てフォトグラファーとして独立。以後、カメラ誌および一般紙、Web媒体を中心に多方面で活動を行う。日本写真家協会(JPS)会員。

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