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噴火から1週間 甘い認識、生かされなかった「御嶽山」の教訓

ブルーキラー
2018/01/31 17:44

噴火から1週間 甘い認識、生かされなかった「御嶽山」の教訓

草津本白根山噴火
2018.1.31 12:50

 12人が死傷した草津白根山の本白根山(群馬県草津町)の噴火から30日で1週間が経過した。想定外の噴火に驚くスキー客、麓の温泉街で相次ぐ宿泊予約のキャンセル…。平成26年9月に発生した長野、岐阜両県にまたがる御嶽山の噴火災害を彷(ほう)彿(ふつ)とさせる。2つの噴火災害を取材した経験から、「火山防災の教訓」を考えてみた。(三宅真太郎)

■御嶽山に似た現場

 23日午後、草津国際スキー場(草津町)の現場に到着した。ヘリで救助されたスキー客は「噴火が起こるなんて夢にも思わなかった」と口をそろえた。中には「夢中で写真を撮った」と、携帯で撮影した画像を見せてくれた人もいた。

 御嶽山の噴火災害でも、多くの登山者が噴火の様子を画像や映像で撮っていた。災害の恐ろしさを伝えたり、研究資料になったりする利点がある一方、ある遺族は「写真を撮る時間も惜しんで逃げてほしかった」と話していた。

 直径数十センチの噴石が当たれば、ひとたまりもない。今回も御嶽山の教訓は生かされていないと強く感じた。

 草津白根山は、噴火警戒レベルが最低の「1」(活火山であることに留意)でありながら突然、噴火した。気象庁による常時観測の活火山は全国に50あり、県内では、浅間山や焼岳などが含まれる。「活火山であること」をきちんと認識し、噴火に遭遇した場合、合理的な行動を瞬時に選択できるよう、自覚を持つべきだ。

■避難計画は未策定

 「上級者だけでも、スキーで滑り降りてもらってはどうか」

 噴火後、麓の事務所では、山頂に取り残された約80人の利用客の救助方法をめぐり、混乱が続いた。

 火山灰が積もったロープウエーは動かせず、雪上車やスノーモービルだと一度に2~3人しか運べない。迅速な救助が難しい中で飛び出した提案だった。

 だが、この提案は結果的に、噴石が飛来する可能性があるため見送られた。噴火を想定した避難マニュアルがなかったのだ。

 御嶽山の麓にある「御岳ロープウェイ」(木曽町)では、御嶽山噴火を受けて従業員による定期的な避難誘導の訓練を始め、利用客約1700人を誘導できる独自の避難計画を策定した。約500人分のヘルメットも配備しており、運営会社の今孝志社長(64)は「活火山である以上、いつ何が起きるか分からない。そういう心構えの大切さを御嶽山の噴火で学んだ」と語る。

 行政による避難計画の策定などがままならない中、民間レベルでもさらなる自助努力が求められていることは言うまでもない。

■風評被害またしても

 御嶽山の取材で、幾度となく耳にした言葉を草津町でも聞いた。

 「風評被害が怖い」

 残念に思うのは、被災地というだけで客足が遠のく現実は避けられない、という面もあることだ。

 御嶽山の噴火後、「長野県内全域に灰が積もっているのではないか」という県外の反応を知って、風評被害の恐ろしさを思い知った。「被災地」だと安易にひとくくりにして、根拠に乏しい、軽はずみな言動をしてはいけない。長野県民であればなおのこと、身につまされるのではないか。

 草津町の草津温泉旅館協同組合によると、噴火した23日から26日にかけて、宿泊予約のキャンセルが個人・団体で計約5500件(延べ約2万280人)に上ったという。

 組合の担当者は「新規の予約も来るようになっている」と説明するが、一度ついたイメージを払拭するのは容易ではない。

 町はホームページで「マグマが噴出し温泉街に到達することはあり得ません」と呼びかける。そもそも火口から約5キロ離れた温泉街に噴石が飛んでくることはあり得ない。正しい情報に基づいて行動してもらいたい。

 取材期間中に宿泊していたのも温泉街のホテルだった。安全上の問題がなかったのは言うまでもない。

 次の災害はいつどこで起こるか分からない。噴火を経験して得た教訓を自治体同士や民間レベルでも共有し、いかにして次に備えるか。災害にも風評被害にも悩まされてきた長野県民こそ、全国のさきがけになるべく、具体的な行動を起こし、範を垂れるべきである。

http://www.sankei.com/affairs/news/180131/afr1801310030-n1.html