ここから下はネタバレになります
主人公の名前は○○です
湊「楽しんでいるか、○○」
「湊先輩!」
湊「ちょ・・・お前はマジでわんころだな」
湊「あんまり走るなよ」
湊「せっかく綺麗にしてんのに、転んだらどうするんだ」
「大丈夫ですよ。皆さんのご好意を無駄にしたりしません」
湊「ならいいけどな」
「本当に幸せすぎて、なんだかまだ夢みたいです」
「でも、そんな夢のような時間ももうすぐ終わりそうですね・・・」
(パーティーもお開きに向かってるみたいだし、すごく寂しいな・・・)
湊「勝手に終わらせるなよ」
「えっ」
湊「夜はまだまだこれから、だろ?」
(これからって・・二次会とかあるのかな?)
湊「パーティーが終わったら、エントランスで集合な」
「!それって・・・」
湊「2人きりで、終わらない夜を楽しもうぜ」
パーティーを終え、みんなに見つからないようにエントランスに戻る。
(湊先輩は・・・っと)
湊「・・・・今日は楽しめましたか、お姫さま」
「湊先輩!」
軽く咳払いをして、わざと大げさに礼を取る湊先輩
そんな姿が珍しくて、思わずクスクス笑ってしまう
「すごく楽しい時間でした。綺麗にしてもらって、親しい人たちと沢山お喋りが出来て・・・」
湊「なら良かった」
「それに、珍しく湊先輩が優しくエスコートしてくれましたしね。最高でした」
湊「珍しくってなんだ。オレはいつも優しいだろ」
「えー?」
湊「なんだその驚愕の表情は。○○、家に帰ったら百叩きの刑だからな」
「じょ、冗談ですって。百叩きっていつの時代ですか」
肩に添えられていた手が、今度は私の手を握る
握る力が強まったときには、1歩目を踏み出していた
湊「離すなよ。オレの手」
「え、あの、湊先輩」
湊「待ったなし、質問もなしだ。とにかく一度ここを出る。」
「でも、ついて来いっていったいどこに・・・」
湊「お前に遠慮なくキスできるところ」
「え!?」
湊「ほら、来いよ」
強引に手を引かれれば、私も、1歩2歩と勢いづいて歩き出す。
その後は少し走るように、私達はホテルを飛び出した。
湊「こっち。ここ座って」
「わあ・・・」
ほんのりと照明の暗い店内に、心地良いピアノが響く
ちょっとした小物までが洒落た、雰囲気の良いバーだった。
「バーなんて、珍しいですね」
(『お前に遠慮なくキスできるところ』っていってたから、てっきり家に帰るのかと・・・)
湊「カップルシートだから、周りなんて気にしなくていいぞ」
「えっ!」
湊「ほら、こうすればほとんど2人きりだ」
低く囁いた先輩が、ただでさえ近い距離を詰めてくる。
窓の外には夜景が見えるけど、それどころじゃない
(体の密着しているところから、心臓のドキドキが伝わっちゃいそう)
緊張に身じろぐたび、シャラリとアクセサリーが音を立てる
湊「こら、目逸らすなよ」
「だって・・・一応人前だし」
湊「へぇ。緊張しているのか」
「そりゃあ、まあ・・・」
湊「ここに連れてこられて、オレに何されるんだろうって、想像してたんだろ?」
「!」
湊「教えてやろうか。オレが、ここでお前に何していようとしてたのか」
「何しようと、・・って」
湊「目、閉じろよ」
一瞬迷った私の瞼に、先輩がそっと触れてくる
それに従うように目を閉じてしまう
(この流れはやっぱりキスだよね。カップルシートとはいえここで・・・)
「あの、湊先輩やっぱり店内じゃ・・・」
湊「はい、あーん」
「むぐっ!」
(何!?ケーキ食べさせられた!?)
目を開くといつの間にかテーブルには、プチケーキ数種類のお皿が運ばれてきている。
湊「美味いだろ。評判いいんだぜ、ここのプチケーキプレート」
「すごく美味しいですけど・・・もう、ビックリしたじゃないですか!」
湊「ふくれっ面するなよ。それともお前の予想通りキスの方が良かったか?」
「なっ・・・どうして!?」
「○○の考えてることぐらい、手に取るように分かるからな」
「わ、私は別にそんなこと考えてませんし・・・ケーキもう1ついただきます!」
湊「ふっ、誰も取らねーからゆっくり食えよ」
悪戯っぽく笑う先輩
(うう、やっぱり見透かされてる気がする)
色とりどりで見た目がかわいいケーキは、味も抜群だ
(恥ずかしいのを誤魔化そうとがっついちゃったけど、本当に美味しいや)
湊「我慢せずに、もっと食べていいぜ。お前のために頼んだんだしな」
湊「お前最近、甘いもの断ちしてただろ」
「知ってたんですか・・・!」
湊「まあ、いつも見てるしな」
「!」
湊「・・なんだよ」
「すみません。こういうの、なんだかうれしくて」
(確かに、入稿前のあ楽しみにと思って、お菓子は止めてたんだよね)
(湊先輩、私のこと気にしてくれてたんだ・・・)
「にしても、たくさん種類があるから迷っちゃいますね」
(でも、このケーキ結構甘いし、甘いもの苦手な湊先輩は食べられないだろうな・・)
そんな私の気持ちを察したのか、湊先輩がポンッと頭をなでる。
湊「オレはケーキはいいよ。それより、食べさせる方が面白そうだ」
「食べさせる・・・?」
湊「そう。オレがお前にな」
私の手を握りこむと、湊先輩は難なくフォークを奪う
そして再び瞼に手をかざされた
湊「食べさせてやるから、目閉じてろ」
湊「それでどのケーキか当ててみな」
「ふふ、ゲームですね。いいですよ。甘いものなら自信ありますから」
湊「正解したら、お前のすきな場所にキスしてやるよ」
湊「ただし不正解なら・・ここじゃ言えないような場所に、キスするから」
(それって、どっちにしろキスされるんしゃ・・・!)
湊「はい、目閉じて。ケーキを食べる」
「あっ・・・んぐっ」
問答無用の目隠しと、口に広がるやわらかさ。
とろんと舌の上でとろけ、鼻から甘さが抜けていく
「これは生クリームですよね。イチゴのプチショートケーキかな」
湊「・・・正解」
目隠しが外された先で、湊先輩が口を尖らせていた
湊「簡単すぎたか。正解が早すぎてつまんねーな」
湊「せっかく、お前を赤面させようと思ってたのに」
「それは、ここじゃ言えないような場所にキスをして・・・っていうあれですか?」
湊「それ以外にないだろ」
(せ、正解してよかった・・・)
「だけど本当に美味しかったな。クリームがトロトロのふわふわで」
湊「そんなにか?」
「イチゴの酸味がちょうど良いから、この味なら先輩でも平気かも」
「他の味はちょっと甘かったけど、これはそんなに甘すぎなくて・・・」
湊「じゃあ味見させてもらおうか」
「えっ・・・」
かぷっと、先輩が私を甘噛みする。
熱い舌が、私の唇の端をなめた
「・・・っ」
湊「呼吸忘れて、息止めるなよ」
「だって、急すぎますよ・・・」
湊「こういうときのお前、本当かわいいよな」
そのまま唇を吸われ、思わす吐息が抜ける
キスの終わりには、呼吸がわずかに乱れてしまった
「先輩、私が正解したからキスはしないんしゃ・・・」
湊「しないとは言ってないだろう」
湊「不正解だったら『言えない所にキス』で、正解なら『お前の好きな所にキス』だ」
「それじゃ・・」
湊「○○は、唇のキスが好きだろ?」
「独断でやるのはずるいです。私が選ぶはず、だし」
湊「じゃあお前の好きな所、ちゃんと言ってみな。そっちにしてやるよ」
「・・・知りません」
湊「いうと思った。ってわけで、先手必勝だ」
(意地悪な顔してるし。まあ、湊先輩らしいんだけど)
湊「そういや、ぜんぜん味見が出来ていないな。やっぱりもう一回するか」
「駄目です。もうクリームなんて残っていませんよ」
「それに、これ以上したらリップが全部とれちゃいます」
湊「また後でのお楽しみってことか。焦らし上手だな、○○も」
「湊先輩・・・」
湊「冗談。照れながら睨まなくても怖くないぞ」
湊「まあ、ゆっくり待ってやるよ。まだまだ夜は長いからな」
「えっ」
そう言うが早いが、先輩が私の額にキスをする
湊「ここなら取れないだろ、口紅」
「・・・かないません、本当に」
先輩の言う通り、まだまだ夜は長い
湊先輩の肩にもたれながら、私はきらめく夜景に目を細めた
