歌手のDolores Jenney Rivera Saavedra(ドローレス・ジェニー・リベラ・サーベドラ)さんはWikipediaに拠りますと1969年7月2日にキャリフォーニア州ロングビーチに生まれたメキシコ系米国人で2001年12月9日にメキシコのヌエボ・レオンにて飛行機事故にて死亡と書いてあります。

※メキシコではジェニーさんの名前の綴りのスペルを『Jeni』とか『Jenni』とか『Jenny』などと綴っています。


ジェニー・リベラさんの家族やマネージャーがジェニーさんがシナロア・カルテルのボスのエル・チャポ・グスマン親分に「モンテレイでのコンサートには出るな、出たら殺す」と脅されていたと言う事を証言しています。


コンサート中に最前列の客席にいたシナロア連合の構成員と思われる男がジェニーさんに向かって「お前は明日死ぬぞ!」と怒鳴った事を近くにいた複数の観客が証言しています。


状況証拠は揃っていますし実行犯と思われる『エル・バルビー』他数人の男が別件で逮捕されましたがマフィアの世界の鉄の掟で当然ですけどグスマン親分の事件への関与を証明出来ませんから公式の文書には飛行機事故と書かれているんです。


山口組三代目の田岡一雄の企業舎弟の人がやっていた神戸芸能社が美空ひばりさんや田端義夫さんなどの当時の売れっ子スターを抱えていて鶴田浩二さんを神戸芸能社に引き抜こうとしたらしいんです。


鶴田浩二さんが色良い返事をしなかった為に山口組系安原会組員の山本健一組員と尾崎昭治組員が鶴田浩二さんを襲撃して煉瓦(レンガ)とウイスキーの瓶で鶴田浩二さんの頭を殴って怪我をさせたんです。

いわゆる『鶴田浩二襲撃事件』です。


日本のヤクザの場合は煉瓦と酒瓶ですから鶴田さんは頭を何針か縫っただけで命に別状は無かったんですけど世界最大の麻薬カルテルのシナロア・カルテルの場合はジェニーさんが乗った自家用飛行機をミサイルで撃墜しましたから助からなかったんです。

田岡一雄組長と美空ひばりさんの加藤家の関係は美空ひばりさんの弟さんが山口組の構成員だったとか田岡組長が美空ひばりさんを娘のように可愛がっていたなどと言う話を我々も雑誌などで見て知ってる訳です。


芸能界とか山口組と関係が無い我々一般庶民には実際の事は良く分からないんですけど雑誌などの2次資料から我々は美空ひばりさんが田岡組長と親しかった事を知ってるんです。


今の時代ですと暴力団の組長との交際が明るみに出たら芸能生命が終わってしまうんですけど当時は時代が違っていたんです。

今の時代に山口組の司組長との2ショット写真が出たら芸能生命は1発アウトで終わります。


日本の場合ですと『事件ウォッチャー』みたいな人が書く『まとめブログ』と言う物はマニアックな国民性の国の中でもさらにマニアックな人たちが書いてますのでかなり正確であまり出鱈目な嘘を書いてないんですけどメキシコの場合はご存知のような国民性ですからネットにまとめ記事を書いてる人がかなり違う事を書いてるのでそれらの2次資料は信用出来ないんです。

マフィア側からは証言を取れませんけどジェニーさんの家族の人やマネージャーの人などの証言と言う1次資料は出てますからそっちを僕は信用してるんです。


メキシコ人のchisme(チズメ👉噂話≒嘘)好きな国民性の為にジェニー・リベラさんがエル・チャポ・グスマン親分から巨額の金を強請られていたと言うようなチズメがあるんですけどこれは間違いだと僕は思います。

ジェニーさんが大歌手と言っても世界最大の麻薬カルテルのボスから見たら桁が違います。
シナロア・カルテルが麻薬ビジネスで稼ぐ金は一説に拠りますとイタリアの全ての企業が稼ぐお金より多いそうです。

山口組の司組長が稼ぐ金は日本政府が持ってる金より少ないですし六代目山口組の構成員が6千人だか何千人だかいても日本の警察官29万と自衛官25万を相手に戦っても勝てませんから日本のヤクザは国家権力には歯向かわないんです。

メキシコのマフィアはメキシコ政府より金を持っていて警察官や軍隊の兵士よりもマフィアの構成員の数の方が多いから国が全力をあげて麻薬戦争を戦っても潰せないんです。


メキシコ大統領のオブラドルはメキシコシティのテピートのテピート連合を潰す事はもしかしたら出来るかも知れないんですけどシナロア連合を潰す事は出来ないんです


シナロア連合のボスのグスマン親分がジェニーさんを脅したのは銭金ではなくて面子(メンツ)の為だったと僕は思います。

グスマン親分はケート・デル・カスティージョさんのドキュメント映画に出ちゃったりしてひょうきんな性格で芸能人が好きな性格みたいなんですけど特にジェニー・リベラさんの歌に惚れ込んでいてジェニーさんを娘のように可愛がっていたからジェニーさんに金を強請ると言うのは有り得なくて逆にジェニーさんを守ってるような庇護者みたいな感じだった訳です。

問題はジェニーさんがモンテレイでコンサートをやる事にしたあとにモンテレイを仕切ってるセータスって言うカルテルとシナロア連合の抗争が起きてモンテレイはグスマン親分の反目(はんめ)の組織が仕切る庭場と言う事に成ってしまった事なんです。


「なあ、ジェニー、俺はお前の歌が好きだ、お前の歌は最高だ、だから俺はお前を殺したくない。モンテレイには行くな。モンテレイはセータスの奴らのシマだからな、俺が抱えてる歌手は誰もモンテレイでは歌わねえんだ、モンテレイで歌ったら俺の顔を潰す事に成る。俺の面子を潰すような奴は俺は殺すんだ、たとえお前でも殺らなきゃならねえ」

「行かせて下さい、私は歌手だから行きます。私の歌を聴きたくて何ヶ月も前からチケットを買ってコンサートを楽しみにしてくれてる人たちをがっかりさせたくない」

と言うような事でジェニーさんは警告を無視してコンサートで歌ったらしいんです。


コンサートで歌ってる最中にシナロア連合の組員に死刑宣告を受けても顔色1つ変えずに全ての曲目を感情込めたジェニー節の素晴らしい歌い方で歌い切ったジェニー・リベラさんの歌手としてのプロ魂は大変な物でした。


ジェニーさんたちは危険を承知で来てましたから当然対策を考えて秘密裏に自家用ジェット機を購入していたのでコンサートが終わったあと夜中にホテルを抜け出して飛行機を隠してる場所に向かって夜中の内に脱出しようと考えたらしいんです。


シナロアカルテルの地元のシナロア州だったらそこら中にシナロアカルテルの構成員とシナロアカルテルに協力する住民の目が光ってるから秘密裏に脱出する事は出来ないんですけどここはシナロアカルテルの敵対組織の土地だからシナロアカルテルもあまり人数を送れないだろうとジェニーさん側は考えていたみたいなんですけど飛行機を買った事も飛行機を隠してる場所も全てシナロアカルテル側にバレていてジェニーさんは殺されてしまったんです。


メキシコのマフィアと言うのはそのくらい恐ろしい組織ですから僕も含めてメキシコに住む人間の内の99%の人間が麻薬カルテルのメキシコマフィアには逆らわないんです。

でもミチョアカン1家に逆らって何回襲撃されて撃たれてもマフィア撲滅を叫んで遂に命を落とした元市長のマリア・サントス・ゴロスティエータさんて言う女の人がいましたけどマフィアの脅しに屈しないで道を貫く勇気がある人も多いんです。

ジェニー・リベラさんはその生き様からGran cantante(大歌手)と言う称号ではなくてGran señora(偉大な女性)と呼ばれています。

今は娘さんのChiquis Riveraさんが歌手として頑張っています。

僕はフレディ・フェンダーさんの『Before the next teardrops falls』のスペイン語カバーの『Estare contigo cuando triste estes』が好きで良く聴くんですけどこの歌を聴きながら昔の芸能雑誌のジェニー・リベラさんのグラビアを見ます。

歌手としてだけでなく人間として素晴らしい人でした。
歌手道に殉じて死んだ人です。

※写真はネットの人からお借りしました。