あれは15の時。
中3の秋。
2歳の時から住んでいた街を父親の仕事の都合で引っ越す事になり、泣く思いでその街を後にした。
何せ物心がついてからずっと住んでいたので、その悲しみもひとしおだ。
引越し先は同じ市内でも、駅からは車を飛ばしても40分は掛かるであろう辺鄙な場所だ。
辛うじて転校は免れたものの、毎日自転車で1時間掛けて通う中学校。
あの街に戻りたくて学校帰りには良く、もぬけの空き家となった元の我が家に行ったものだ。
その空き家もやがて取り壊され、想い出もすべて消し去られた様だった。
よし!
大人になったら必ず自分の力でこの街に戻って来てみせる!
…と瓦礫と化した我が家を見ながら心に誓うのだった。
時は経ち、一人暮らしをしながらも市内を転々とするが、なかなかそこへ戻れない。
それどころか若気の至りの経済苦で更に山奥のボロアパート暮らしを強いられ…。
あの街への転居など夢のまた夢…。
たまに通るその街はまるで夢の世界の様だった…。
50も過ぎた頃、仕事や経済面もどうやら人並みになり、ふとその街への転居が頭をよぎる。
今ならイケる!
そして36年の時を経て、ようやくこの街に城を構える事が出来たのだ。
毎日が懐かしい。
まるで少年時代に戻った様だ。
通っていた小学校や文具店、近くにある同級生の家もそのままだ。
感謝の気持ちを忘れず、ずっとこの街で生きて行こう。
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