(映画) 祇園囃子 | 翡翠のブログ

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祇園囃子

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1953(昭和29)年 大映
1953(昭和29)年キネマ旬報ベストテン第9位/第4回ブルーリボン賞助演女優賞(浪花千栄子)

<溝口健二・依田義賢>
溝口・依田「祇園囃子」台本
「祇園囃子」台本<監督>溝口健二
<脚本>依田義賢
<企画>辻 久一
<監督助手>弘津三男
<音楽>斉藤一郎・望月太明吉(和楽)
<撮影>宮川一夫
<美術>小池一美・加藤 茂(美術助手)
<編集>宮田味津三
<録音>大谷 巖
<照明>岡本健一・伊藤貞一(照明助手)
<衣装>黒沢好子

<川口松太郎>
川口松太郎<原作>川口松太郎

<出演>
木暮実千代・若尾文子・河津清三郎・進藤英太郎・菅井一郎・田中春男・小柴幹治・石原須磨男・志賀廼家辨慶・伊達三郎・浪花千栄子・毛利菊枝・岩田 正・大美輝子・橘 公子・小松みどり・小林加奈枝・小柳圭子・前田和子・種井信子・三田登喜子

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(感想)

以前にも見たのだが、やはり良かった。
若尾文子が若くて可愛い!あどけなさが残っていて
後にあんなに妖艶な女優さんになるなんて
信じられない位。


小暮実千代も良かった・・・。
本当に、とことんいい姐さんの役なのだ。
情に厚く、正義感も強い。義理堅く面倒見がいい・・・。


映画の中で「基本的人権」なんて言葉が出てくるし
戦後の、新しい憲法の影響を大きく感じる。
しかしその「基本的人権」は理念としてはあるものの
この花街では通用しないのだった。

若い舞妓(若尾)は、芸事は熱心にやって人気のある舞妓にはなるが
だからといって好きでもない男に囲われるのはいや、と拒否する。
それを小暮実千代も認めるのだが、花街を取りしきる
大御所浪花千栄子には通用しない。
そんな勝手が通るのか、とばかりにお茶屋さん全てに圧力をかけ
仕事を寄こさない。さすがにそれでは干上がってしまう。
そんな訳で結局は言いなりにならざるを得ないのだが
それもこれも若い舞妓のためである。

「うちがあんたの旦那になってあげる。
あんたを守ってあげる」と、小暮実千代が言い、二人は
またお座敷へと戻っていく・・・。
宮川さんの映像はさすがに美しいし、依田義賢の脚本も良かった。
溝口健二の作品は女性を描いて天下一品だが
この映画はその中では地味な方だと思うのだがそれでも
素晴らしいクオリテイである。
脇役の俳優さんたちも素晴らしい。

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特に浪花千栄子はいつもながらに圧倒的な存在感がある。
あの台詞回し、自然で何の演技もしていないかのような
軽妙洒脱さ。そして底にある怖さも滲み出す。
到底、こんな味は現代の女優さんで出せる人はいないだろう。
素晴らしい。
とにかく素晴らしいのである。

ずっとせりふを聞いていたいと思わせるくらいだ。
その他の俳優さんたちも実にいい。
菅井一郎も、本当にこんな感じの人いるよね、って思うし、
田中春夫、進藤栄太郎、毛利菊枝、近江輝子さんなど
芸達者な人達が周りを固めている。