「選手のために」と小塚崇彦が開発、フィギュア史を変える国産ブレード。

4/29(日) 17:01配信

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 フィギュアスケート男子の元五輪代表の小塚崇彦氏が4月24日、名古屋市内の企業とともに開発したスケート靴のブレードを発表し、販売を開始した。

 名前は「KOZUKA BLADES」。

 新たな方向性を打ち出し、従来のブレードの欠点を乗り越えようという意欲的な製品だ。

 ブレードとは、靴についている刃の部分のこと。小塚が現役時代、足型の作成で訪れた際、高精度金属加工メーカーとして業界内では高い評価を得ていた山一ハガネの技術力を知り、「ブレードを作れるんじゃないか」と相談したことから、共同開発がスタートした。

 自ら開発を手がけようと思ったのは、現役時代から問題を感じていたからだと語る。

従来の製品だと2週間から1カ月で問題が。

 従来の製品は3つのパーツを溶接することで1つの形となり、それが靴に取り付けられている。その構造がトラブルを起こしがちだった。

 「接合されている部分が、練習や試合でジャンプをやっている中で折れてしまったり曲がってしまったりする。男子の中には2週間から1カ月でそうなる選手がいます。また、溶接は人の手でされているため、(位置に)1.5ミリのずれだったり、1.5度程度のずれがあったりします。ブレードの形状に選手が合わせないといけない現状があります」

 氷上と接する最も重要な道具であるにもかかわらず、耐久性に乏しく、品質にばらつきがあることを意味している。それは選手にとって、不安材料となる。

 解決策として山一ハガネが提案したのは、大きな金属の塊から削り出して製品を作り上げる手法だった。

 「ブレードは溶接、つまりプラスの作業ですが、提案を受けたのは、もともとあるものから削り出していく、マイナスの作業。こういう方法があるのかと最初は驚きました」

 全体を1つのパーツとすることで、溶接がもたらす弊害の解消を図った。

見よう見まねのデザインからスタート。

 この日展示されたものは、11.5kgの塊から削り出された271gのブレード。

 「削り出す作業は機械で数値化されているので、99%同じ製品が出来上がります」

 また、従来の製品に使用されている素材が安価なものであることも分かり、素材そのものにもこだわった。ブレード自体に靭性(粘り)があり、ジャンプの着氷時など衝撃の吸収性を向上させ、身体への負担の軽減を図るなど、様々な工夫が施されているという。

 製品として完成に至るまでは試行錯誤が続いた。山一ハガネの技術開発センター長、藤井正法氏は語る。

 「スケートが分からない集団ですので、見よう見まねでデザインするところから始まり、既製品を分析した上で作りました。小塚さんが試してみて、感想などをフィードバックしていただき、修正してまた履いて、という時間のかかる作業を続けてきました」

次ページは:耐久性が向上し、無良も2シーズン使用。

耐久性が向上し、無良も2シーズン使用。

 選手の繊細な感覚の部分を反映しながら、改善を試みてきた。

 すると小塚の他にも使用する選手が現れた。その1人、無良崇人は2シーズン使い続けてもブレードに形状の変化が見られず、換える必要がなかったという。高さと迫力のあるジャンプを持ち味とする無良である。それは従来のブレードからの、耐久性の飛躍的な向上を物語っていた。

 価格は17万5000円(税別)。従来のものはおおよそ7~9万円であることを考えると、少々割高にも感じられるが、小塚はこう説明する。

 「従来のものであれば男子は1~2カ月、女子は8~9カ月で交換します。平均をとって6カ月で交換するとすれば、オリンピックとオリンピックの間の4年という期間を考えると、8回交換が必要ということになり、8万円×8回で64万円。このブレードは16カ月はもつので4年間で3回の交換、52万5000円におさえられます。また、業界では初めてのことですが、6カ月間の保証書もつけます」

道具がおざなりだった感は否めない。

 そこには、製品への自負があった。

 かねてから、小塚はこう語ってきた。

 「ジャンプの高難度化など、演技は進化しているのに、ブレードの構造は昔から変わっていない。フィギュアスケートは道具の部分がおざなりだった感は否めません」

 旧態依然としているからこそ、大会でもブレードが演技の支障となる場面があった。

 2017-18シーズンのスケートアメリカの男子ショートプログラムでは、滑走の直前、ネイサン・チェンがブレードが欠けていることに気づき、ジャンプの跳び方などを変えるなど対応に追われた。

「選手が安心して集中できる環境を」

 2012年の全日本選手権男子ショートの最終グループではこんな出来事があった。

 前走者の演技が終わり、コールを待つ堀之内雄基がリンクで慣らしのジャンプをしたとき、右のブレードが割れたのである。

 リンクサイドにいたコーチが瞬間接着剤とテープで応急処置を図るも、演技には耐えられないと、棄権を余儀なくされた。引退試合と決めていた舞台での、あまりにも酷なアクシデントだった。それを見守っていた次走の町田樹の表情と堀之内の肩をたたいてなぐさめた仕草が忘れがたい。

 「ブレードに左右されることなく、選手が安心して、集中できる環境を整えられればと思います」(小塚)

 すべては選手のために。

 その一心から歴史を変えるべく誕生したブレードが、スタートを切った。

(「オリンピックへの道」松原孝臣 = 文)


(転載終了)




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素晴らしい!



「すべては選手のために」


フィギュアの「良心」とも言うべき存在の小塚君。

選手にとって命ともいえるブレード。

その開発の為に心血を注いでいたのですね・・・。



ほとんどの選手は人間性も良いし、

小塚君のように引退してもフィギュア界のために、選手の為にと

尽力してくれる人がいる。

「自分のこと」だけではない、

その競技全体のことを思っています。

真央ちゃんもそうです。


こういう人達が連盟の中枢となって

フィギュアスケートを浄化していってくれるのが

望ましいのですが・・・。




今日、全日本体操を見たのですが、

体操競技の選手達の関係性も見ていてとても爽やかで、

ソチ前までのフィギュアもあんな風な感じだったのにな・・・なんて

少し思いましたが・・・。


全日本体操個人総合選手権大会】

男子結果

1位.谷川翔

2位.白井健三

3位.内村航平

4位.萱和磨

5位.田中佑典

6位.千葉健太

7位.谷川航

8位.野々村笙吾

※敬称略


世代交代を無理やり煽ることもなく、ミスの少なかった選手が

勝者となる、という当たり前のことが行われていて

選手達の、互いを讃えあう姿もとても清々しいです。



内村選手も今日の成績だけならトップだったそうです。

予選での落下が響いたことになりますが、

怪我明けということもあり、予選が5位という中での

最終三位はさすがだし、やはり内村選手の体操は美しいです。


それをお手本にし、追いつけ追い越せと頑張る後輩たちの姿も

爽やかです!



(女子は村上選手が三連覇を果たし、二位は寺本選手、

三位は畠田選手でした)