「風のガーデン」が最終回を迎えた。
一貫して淡々と描かれてきて、良質ながら
派手さはないため、周囲でも見ている人は少なかった。
ただ、ルイ(黒木メイサ=ジャルジャルの福徳に
似ていると私だけが思っている)に思いを寄せる青年役と
中井喜一の息子役の神木龍之介がこのドラマでの
楽しく和ませてくれる役割を担っていて、そこに惹かれていた。
そして遂に最終回。終わりまで淡々としていた。
主人公は予てからの予定通り、亡くなる。
確かに亡くなった事実は悲しいが、その悲しみが盛り上がることは
なかった。気掛かりは神木演ずる少年のその後だった・・・・
しかし・・・・・最後の最後・・・・・
最後のワンシーンであるが・・・・・
見事にあたり一面花咲く野辺には
一角だけぽっかりと四角く花が咲いていない場所がある。
その場所こそ・・・・・中井喜一役の父が
いた場所。キャンピングカーがあった場所。
もう、その車も車の主もいない。
しかしその一角だけ、花が咲いていないと言うことが
却って、「存在」をあきらかにしているのだ。
その瞬間、涙は滂沱と流れ言いようのない感動に
自分が覆われているのを感じた。全てはラストで決まると言うが
まさにそれを実行したドラマであった。
今までの張り巡らされた伏線が、最後に一つに
引っ張られ、鐘を鳴らしたのだ。
素晴らしい。質の高いドラマであった。
大人のドラマだ。良心的で密やかだが、心に滲みこむような
ドラマを送られた脚本家やスタッフに、感謝したい。
地味でもこれからもこのようなドラマを望む。
来年の山田太一脚本の「ありふれた奇跡」も
期待している。楽しみだ。