今、向田邦子にはまっている。


とはいっても、文章の方ではなく、もっぱら


映像だ。向田邦子脚本の「あ・うん」「阿修羅の如く」


「父の詫び状」がきっかけで、魅せられてしまった。


昔も見たんだ。リアルタイムで。


で、昔見た時も面白く感じたけど、今はもっと面白い。


生々しすぎて感じた部分は


年を取った分、薄められるのだ。



まさしく、大人のドラマだ。


大人でなきゃ、わからない。人生の機微・・・・人間の生臭さ・・・。


人間の「心の闇」を鋭く冷酷に描く。が、そこはかとない


優しさ、ぬくもり、そして間抜けさ、ユーモアが


溢れてる。脚本が素晴らしいのは勿論だが


役者陣がまた、見事。八千草薫、加藤治子、いしだあゆみ、風吹ジュ


ン、佐分利信、宇崎竜堂、などなど・・・・。


人の心にぐさりと刺さるセリフを、見事なまでに


体現する俳優陣。


今じゃこれだけの役者達はいないなあ。



このドラマの中に、「教育勅語」が出てくる場面がある。


「なんじ、臣民父母に孝に、兄弟に友に、夫婦相和し、朋友相信じ・・・


じ・・・・」と長女が暗唱し、それに続き次女も。


こうして皆が共有するものが今の教育にあるだろうか。


こうして暗唱すればみんなで、声揃える「共通」のもの。



人間の業や、暖かさが溢れた向田作品を


もっと見たい。