私は、生理がこない理由を知っていた。生理予定日を過ぎてから、徐々に強くなっていく吐き気。妊娠検査薬を使う前に、もう赤ちゃんができたことがわかっていた。
不思議な気持ちだった。半年から1年かかるだろうと思っていた妊娠計画が、たった1ヶ月で実現してしまったから。どんだけ健康なんだよ、自分。とツッコミを入れつつ、今まで体のためにできるかぎりのことをやってきた結果が、こんな形ではっきり現れたことに納得もした。
また、次の瞬間、職場の人達に申し訳ないという気持ちがでてきた。今まで長い間、慢性疲労症候群にかかったことでかなり迷惑をかけているのに、そんな私をクビにせず支えてくれた職場。体調に回復の兆しがやっと見えてきたから、これから少しずつでもその恩を返していこうと思っていた矢先のことだった。私は昔、同僚が妊娠して産休を取るたびに、自分や他の同僚に降りかかる余計な仕事をよく思っていなかった。自分は子供が持てないと思っていたから、他人が妊娠して勤務中にもかかわらず幸せそうに喋ってばかりいたり、妊娠を理由に仕事を怠る姿を見て、多分嫉妬もあったのだろうが、内心腹を立てていた。私が妊娠すると、さらに職場に迷惑をかけること間違いない。もう悪阻も始まっているし、慢性疲労症候群の症状がどうなるかわからない。しかし、もう妊娠してしまったんだから仕方ない。でも同僚に気遣わせるのが嫌だから、しばらく隠し通すことにした。