奇縁まんだら③ー立女形はトイレも女用ー舟橋聖一 | 京都案内人のブログ

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京都散策ー四季の風情や町並み、名所、歴史、人物を訊ねる。たまに言いたい放題。

文藝春秋主催の恒例となっている

「文士劇」がある。

 

 

 

 

小林秀雄が「父帰る」に主演し、

三島由紀夫が「弁天小僧」に、

石原慎太郎が「坂本龍馬」に

なったりする。

 

 

ただし、この芝居はあんまり

上手いと面白くなく、下手な

ところがお愛嬌で、せりふを

忘れて立ち往生したりすると

大うけする。

 

 

というわけである。

 

 

 

舟橋聖一  画:横尾忠則

 

 

舟橋聖一は決まって立女形で、

楽屋には名前を染め抜いた暖簾を

かけ、座布団やら茶道具やら、

鏡台や机も立派なものを持ち込む。

 

 

本人は全身、歌右衛門のつもりで、

廊下を歩く足つきもすっかり女形

風である。

 

 

舟橋聖一  画:横尾忠則

 

 

 

芝居の間、トイレも女用を使うの

だと、もっぱらの噂だったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

瀬戸内寂聴「奇縁まんだら」より

著:瀬戸内寂聴 

画:横尾忠則

発行:日本経済新聞出版社

 

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