ヒヨドリは、全国の市街地で見られる野鳥で、
「ピィー、ピィヨー」とうるさいほど甲高い声で
鳴くのですぐに分かる。
一見は地味な色に見えるが、よく見ると
頭部と胸は青灰色で、眼の周りと頬が赤褐色、
羽が暗褐色となかなか渋い出たち。
雌雄ともに同色で判別はできないが、
一緒にいればオスはメスよりやや大きように見える。
ヒヨドリは留鳥だが、春や秋に国内で渡りをする
群れもある。
「鵯越」という地名があるが、ヒヨドリが春秋に
群れで山を越すところからこの呼称が生まれた。
その場所の一つに神戸の鵯越がある。
源平の一ノ谷合戦のとき、源義経がこの鵯越※の
断崖に立ち、怯む自軍を鼓舞して自らが逆落しに
駆け下り、平家を敗走させたことで知られる。
※鵯越(ひよどりごえ)は、現在の神戸市兵庫区から六甲山脈を高尾山の
西で越え、藍那を経て三木市方面へ向かう間道の山路をいう。
ちなみに長崎県の五島列島、奈留島北東部の山も鵯越の名がある。
義経の鵯越の逆(坂)落しの図
1184年(元暦1)2月、一ノ谷に陣を構えた平氏を討つため、この山上に
出た源義経は、近くの猟師に尋ねてこの断崖を鹿が通るとの話を聞いて
「さて鹿のかよはん所を、馬のかよはぬん様やあるべ。」といい、
その猟師の子を道案内にして、一気に駆け下り源氏軍を勝利に導いた。
(「平家物語」第85句・第88句より)
・義経の実際の足取りは六甲山を越えたあたりから西へ山伝いに辿って、
一の谷の上方鉄拐山から急峻を駆け下ったとする説がある。
ヒヨドリ(鵯):スズメ目ヒヨドリ科ヒヨドリ属
体長27-29cm。本来、市街地では冬鳥だったが、1960年の頃から
都心でも繁殖するようになり、現在は日本全国で一年中見られる。
木の実や果実、椿や梅などの花の蜜を好む。