長期刑務所には外の世界以上に癖が強い人や、自分を含め吹っ飛んでいる考え方をしている人たちがたくさんいるので、毎日バチバチやり合っている懲役は大勢います。

逆に気が合うもの同士はいくつものグループに分かれています。


自分も以前いた工場では、年齢が近い懲役数人と運動を一緒にやる仲で、それなりに色々な事を話していましたが…

やっぱり深い部分で『犯罪について同じ価値観』を持つ人は1人もいませんでした。


自分なんかが偉そうに言える立場じゃありませんが…

なんというか、その場その場の話題で盛り上がるだけで、「本気で被害者の事を考えたらこういう言葉は出ないよな」と思う瞬間が正直たくさんあったからです。


その後数年が経ち、別の工場に異動になり、「ここでも同じだろうな」と思って、生活していたら…

ひょんな流れで1人の同い年の懲役と出会いました


初めは一緒に筋トレして当たり障りない話をする位の関係でしたが、少しずつ色々な話をしていく中で「あれ…この人自分が今なんでここにいるのかスゲー向き合って考えているぞ」と興味が湧いてきたのです。

だんだん「もしかして…」と言う気持ちが強くなり、一度腹を割って、ガッツリ話してみたら…

びっくりするぐらい価値観が似ていて、まさかこんな場所でこういう人と出会えるとは…と本当に驚きました。


外にいた頃は、そこまで深く考える事なく自然と気が合う近い価値観を持った仲間と出会ってきましたが…

刑務所に来て、同じような価値観を持つ人が1人でも側にいるだけで、こんなにも心が救われるのかとめちゃくちゃ身に染みています。


ちなみにこの人はとある国家資格を出所後に取る為に何年もこの中で勉強を続けていて、「社会の為にこれからの人生で自分に何ができるか」をいつも考えています。


こんな所で友達なんて絶対作る必要ないけど、お互いが良い刺激をもらえる関係なら大切にしてもいいんじゃないのかなって想いです。


そしてそれと同時に「外にいた頃、そういう仲間たちのありがたさに俺は全然気づけてなかったんだ…」と今、物凄く後悔しています。

だから、外の世界で当たり前のように周りにいる友達って「本当に貴重でかけがえのない存在なんだ」って事が皆さんにちょっとでも伝わったら嬉しいです。


今回も読んでいただき本当にありがとうございました。

感謝しています。

@懲役25年受刑者