先日、部屋のメンバーと『ロシア・ウクライナ戦争』のニュースを見ている時に「もし、ロシアが日本に戦争を仕掛けてきて、国から俺たち懲役に義勇兵として志願する場合、仮釈放にプラスになるって言われたらどうする?」と言う話が出ました。


自分はてっきりほとんどの長期囚が迷わず「絶対志願する!」って言うと思っていましたが…

同じ部屋の3人の長期囚は「10年仮釈もらえても絶対志願しない」と言い、予想外の答えにびっくりしました。


彼らに志願しない理由を聞くと「いや、死ぬかもしれないんだよ?20年でも考えるわ」と言われ、正直モヤっとしてしまう自分がいて…

というのも、多くの長期囚が一度は言うセリフが『逮捕されて留置場で死のうと思った』です。


長期刑を言い渡されるような人間は、世間を大きく騒がせた凶悪事件の犯人で、手首に手錠をかけられた瞬間「人生終わった」と思う人がほとんどです。


だからこそ、留置場の中で『死』を今までの人生で想像しなかったレベルで本気で考え…実際にその中で死ぬ人もいます。


自分の場合は…結局死ねず…死のう死のうと思っていても、いざ本当に行動に移そうとすると、体が動かず『怖さ』が勝って逃げてしまいました。


そして今、自分は生きていますが…逆に言えば…あの日留置場で死んでいたはずで、本当はここにいない存在なんです。


バカみたいな話に聞こえるかもしれませんが医者に「あなたの心臓を心臓病の人に移植すれば1人の命が助かります」と言われたら、迷わず受けますし、こんな凶悪犯の命で誰か1人でも救えるなら十分です。


ただ…待っててくれる親や兄弟、友人、知人の事を考えたらその行動が正解じゃないのも分かっていますが、やっぱり心の奥底にあるこの『死生観』はもう変えられません。

だからこそ、義勇兵として戦争の場に立ち、少しでも社会の為に自分の命が役に立つなら…それだけで満足なんです。


「格好つけた事を言ってんじゃねーよ」と言われてもしょうがないけど、この気持ちは長期囚にしか分からないと思っていて…そういう考えがあったからこそ、同じ部屋の3人の言葉にびっくりしてしまったのです。

散々部屋で「俺も留置場で死のうと思ったんだよね」と言っていたのに、『死に対しての感覚』が全く違った事に。


勿論、価値観や考え方は人それぞれだし、むしろ「俺のこの死に対しての考えこそ例外なんだな」と気付かされました。


それに死ぬことは全く美徳じゃないし、自分みたいな人間が死について語る資格もないって思っています。

でも、その一方で…今刑務所の中で一生懸命生きられているのは「やっぱり、この覚悟があるからなのかな…」って想いもあります。

こんなバカな奴もいるのかぐらいで思ってもらえたら嬉しいです。


今回も読んで頂き、本当にありがとうございました。

感謝しています。

@懲役25年受刑者