前回、話したようにこれから色々な事を刑務所の中から伝えたいと思いますが…

その前に自分たち、受刑者(懲役)が『どんな一日を送っているか』を今回は、ざっくり話したいと思います。

刑務所での生活は毎日、固定されたタイムスケジュールでコントロールされていて、今から描く一日がほぼ変わる事なく『25年』流れる世界を想像してもらえたら、よりリアルに伝わる気がします。


6時30分に職員の「きしょー‼︎」という怒鳴り声が廊下に響いたと同時に高速で布団を畳み、衣類を着替え、雑居(集団部屋)では各自、分担して掃除をダッシュで終わらせないと、先輩懲役からキレられます。

朝食は5分程度で早食いして、歯磨きやトイレをすぐにすませ、工場に向かう準備をして安座で静かに待機です。

そして、部屋を出て点呼をとった後、工場まで職員の号令に合わせて、『軍隊さながらの行進』でGOです。「左!右!」の号令に足が合ってないおじいちゃんがよくキレられています。

工場に着くと『検身場』という着替えをする場所でパンツ一丁になり、パンツの中まで職員に『不正持ち込み』はないかを確認されます。(冬もパンツ一丁になるのでガグブルの極寒です。)

ラジオ体操後、それぞれ与えられた作業を行いますが勝手に他の懲役と喋ったり、脇見してると懲罰行動に該当し、連行されるので…下を向いて黙々と単純作業を繰り返すのみです。

12時になると昼食時間になりますが、昼休みと合わせて『20分』しか時間がないので、皆かきこむように食べます。

昼休みは食堂内で話したり、将棋や囲碁をしたり、新聞を読んだり、TV(NHKのみ)を観たりなど自由に過ごせる貴重な時間です。

部屋を一歩出た瞬間から勝手に喋る事は禁止で懲役にとって『他人と会話できる時間』は一日の中で本当に短いのです。(雑居は部屋で話せるけど、独居は工場での休憩時間と運動時間のみ。)

そして、毎日30分の『運動時間』が設けられていて、平日のみグラウンドか体育館で走ったり、運動ができるけど(土日祝は室内)…逆にこの30分以外は部屋に戻ってからの筋トレは勿論、ストレッチも禁止で懲罰になってしまいます。

午後の作業は16時頃に終了し、朝と同じ流れで部屋まで帰ります。

ちなみに『お風呂』は週に3回で15分しか入れないけど、特に冬は体が芯から温まるので本当に幸せな時間です。

夕食は17時前にとり、その後は自由時間になるので本を読んだり、弁当をしたり、TVを観たり、すぐに寝たり…と各々が好きな時間を過ごせます。

ただ、雑居だと狭ーい部屋で4人や5人と毎日、寝食を共にする事は勿論、トイレも室内に設置されていて、『プライバシー』は一切なしです。

長期刑務所に来るような人間は自分も含め、ぶっ飛んでいる人間ばかりなので揉め事が高確率で発生し…イビキの大きさ、掃除の仕方、TVのチャンネル権などで、『血だらけの殴り合い』が起こる事もザラです。

そして、21時になると消灯され、起床時間(6時30分)まで『読書・書き物・私語』は禁止で、寝るのみです。(朝日が上がれば読書のみOK)


以上、ざっと説明しましたが長期囚や無期囚は、この生活を何十年と送っています。

外の人たちからすれば想像しにくいかもしれませんが…なんとなく『塀の中の世界』を感じてもらえたら、ありがたいです。


今回も読んで頂き、本当にありがとうございました。感謝しています。

@懲役25年受刑者