【タイトル】 レキシントンの幽霊

【著者】 村上春樹

【出版社】 文春文庫

【発売日】 1999/10/10

【読了日】 2022/7

 

【読んだきっかけ】

本棚整理きっかけで村上春樹さんの本を読み直すキャンペーンをしており、再読。

 

【感想】

初めて読んだとき、表題作「レキシントンの幽霊」は、フィクションなのに、ふと気を抜くと村上春樹さんのエッセイに思えてしようがなかった。

長年、村上春樹さんの本を読んできて、その点にはだいぶ慣れたようで、今回はしっかりフィクションとして楽しめた。

 

この短編集は、例えば「沈黙」や「氷男」「七番目の男」など、ひとりの人がじっくり語る構成のものが多いと思う。じっくり深く掘り下げた語りとその内容にに引き込まれる。

 

表題作「レキシントンの幽霊」は、なんというか、きれいだな、と思った。明るい内容の話ではないが、心地よい静かさ、爽やかさを感じてしまう不思議な文章。

 

「めくらやなぎと、眠る女」については、冒頭にイントロダクションが付いている。元となる(文章ダイエット前の)「めくらやなぎと眠る女」が、「蛍」と対で「ノルウェイの森」にまとまっていく系統のものだったことは知らなかった(すっかり忘れていた)。ただし「蛍」と異なり、「めくらやなぎと眠る女」と「ノルウェイの森」はストーリー上の直接的な関連性は無いとのこと。