【タイトル】 老後とピアノ
【著者】 稲垣えみ子
【出版社】 ポプラ社
【発売日】 2022/1/19
【読了日】 2022/3
【読んだきっかけ】
稲垣えみ子さんの、極力お金を使わないけれど豊かな生活(これが正しい表現かわからないけれど)には以前から興味を持っている。
そこにピアノを取り入れるのは、どんな感じなのか?老後にも役立つものなのか?
また、自分もこれから十数年ぶりにピアノ練習再開しようと思っていたこともあり興味津々で購入。
【感想】
ピアノにチャレンジしてみた、老後も楽しめそう、といった単純な話では全然ない。
「ピアノは老い方のレッスンなのかもしれない」という稲垣さんのことばに納得。
目標もなければ挫折もない、今この瞬間を無意味に努力する、老いて衰えてきても、努力することを楽しむ、そんな世界がある。
…長年サラリーマンをやってきた自分としては忘れていた感覚。
何かをするときに、何のためと考えてしまう癖がついてしまっていた。
取り組むこと自体を楽しむ、それで十分。
努力すれば報われる、進歩する、そういうのが上手くいかなくなってもよいと思いたい。
「不器用でもかっこ悪くても朗らかに生きていく」…いいですね。
おまけ
自分自身は、弾けないフレーズがあると、メロディーが崩れないようにだけ意識して他の音を削ったり、和音をベース音だけに絞ったり、という悪知恵がついてしまっている。
これは、なまじっかピアノを習っていたせいで、小学生のときからクラス合唱の伴奏を担当することがあり、スキルがないけどみんなが困らないレベルで伴奏を成り立たせようと、自分自身の努力の結果身についた悪知恵でもある。
この本の中で、優しい先生に珍しく稲垣さんが注意される場面があり、それは、
音を省略して弾くことは作曲者に失礼だ、1音1音に作曲者のこだわりや思い入れがある、ということ。
身にしみた。自分も今後は、自分の楽しみとしてピアノを弾くのだから、1音1音大事にスピードも気にせず弾いて、味わってみたい。