ミュンヘンの街、テアティーナ教会のすぐ近くにあった建造物。
この建物は、フィレンツェにあるロッジア・ディ・ランツィに似ている。フィレンツェのシニョーリア広場にあり、ウフィッツィ美術館に隣接。フィレンツェは何度か訪れたことがあり、この建物は必ず目にしたことがあるのでよく覚えている。
画像を検索して、この建物は Feldherrnhalle:フェルトヘルンハレという名であることが分かった。設計したのはフリードリヒ・フォン・ゲルトナー、やはり見た目どおりフィレンツェのロッジアを模倣し1841年から44年にかけて建設されたとのこと。19世紀からミュンヘン市内の再開発が行われ、建物があるオデオン広場もこの時に設置された。
1923年11月9日ナチのミュンヘン一揆の時、ここで死者が出たことから、後にナチが政権を奪取した時この建物がシンボル的建物となったという。記念切手も発行された。背景にフェルトへルンハレの建物が見える。この色といいデザインといいドギツイ。
ミュンヘン一揆記念切手、1935年
戦後はナチスの設置した記念物は撤去された。
建物自体に罪はないけれど、それを利用する人間によっていかようにも使われるということか。
当然、この建物の前を歩いていた時もこの建造物の歴史は知らなかった。ミュンヘン一揆という言葉は、かろうじて知っていたけれど、フィレンツェのロッジアに似ているというぐらいの感想しか持てなかった。歴史を知ると知らないとは大違い。ただ旅した時見たものの記憶は案外残っているものだ。ただフィレンツェのロッジアと比べるとどうも重い感じがする。その感じがどこから来るのかわからないが。
Postkarte, datiert 19.3.1916. Beschriftung: "München - Theatinerkirche und Feldherrenhalle"
フィレンツェのロッジアの古写真。
建物そのものというより、周りの環境、ロッジア内の彫刻の与える印象があるためのような気がする。建物を真似しても、周りまでは変えられない。フィレンツェのロッジアは好きなのだが、どうもそれを真似したミュンヘンのフェルトヘルンハレは好きになれない。