北方近世美術叢書 Ⅵ 『天国と地獄、あるいは至福と奈落 ネーデルラント美術の光と闇』(以下『天国と地獄』と省略)(2021,ありな書房),  第3章イメージの源泉と文学伝統 ―シモン・マルミオン,

シモン・マルミオンの図像表現の源泉。アケロンから噴き出る火炎表現。

Book of Hours, Use of Rome, known as the 'Salting Hours' or 'Marmion Hours'.
Manuscripts ca. 1470-1475 (made) 116㎜×97㎜ ©Victoria and Albert Museum, London 

サイズを見ても分かる通りの片手に載るほどの小さな書物。左ページに天国,右ページに地獄,煉獄,楽園。吹き出る炎,橋を渡る裸の人々? ヘント-ブルッヘ派写本,マルミオンの影響が見て取れるとのこと。(『天国と地獄』p115) 確かにそうなのだろうが,なんと美しい彩色だろうか! 天国の背景の緑の地に白で描かれた植物のレースのような美しさ,よく見るとどくろがあるけれど。さらにもう一つ、フィリップ善良公が所有していた『祈祷書』

 Livre de prières de Philippe le Bon, duc de Bourgogne. ms.fr.16428 fol40

罪人が悪魔に責めさいなまれているのだが、どことなくコミカルなところがシモンに通じると。