庭園美術館でボタニカル・アートの展覧会を見た後,ウェルカムルームというところに,以前の展覧会のカタログなどが置いてあったので,何気なく閲覧。2016年に開催された『メディチ家の至宝-ルネサンスのジュエリーと名画』のカタログを見ると,可愛らしい少女の肖像画。キャプションを見るとFrans Pourbus the Youngerの作品。ひさびさFrans Pourbus the Youngerの作品を見たが、やはりうまい。
Portrait of Eleonora of Mantua as a Child Date,Frans Pourbus the Younger circa 1605
Medium oil on canvas Pitti Palace
うろ覚えだが、カタログにこの肖像画が誰の肖像かはっきりわかっていなかったがおそらくエレオノーラの肖像だろうと見なされ,その根拠の一つとして,ルーベンスが同じくエレオノーラを描いた作品に顔立ちが似ているという一節があった。
そのルーベンスの作品が,カタログには載っていなかったが、これだろう。
Peter Paul Rubens (1577–1640)
Anonymous, Probably a Mantuese court painter
Eleonore von Gonzaga (1598-1655), Kaiserin, im Alter von zwei Jahren, Kniestück
Date between circa 1600 and circa 1601
Kunsthistorisches Museum
この記述を見ると,ルーベンスかどうかあやしい? この顔がルーベンスの顔と違うような気もするが?ただ少女の顔立ち自体はプルビュスの作品と確かによく似ている。
美術史美術館のHPを見ると,1659年のレオポルド・ヴィルヘルム大公の目録にルーベンス作と記されているので,数年後の巨匠の作品と違いがあったとしてもマントヴァ宮廷のために描かれた最初の数枚のうちの一つだろうと述べている。
ちなみにこの展覧会のメインはブロンズィーノ。チラシに使われた絵がこれ。
Agnolo Bronzino - Maria (di Cosimo I) de' Medici 1551
17歳で若くして亡くなったコジモ一世とエレオノーラ・ディ・トレドの娘。
いかにもブロンズィーノらしいつるつるの肌に冷たい眼差し。
展覧会の概要にはプルビュスの名前はでてこなかったが,肖像画家としてもう少し評価されても良いのでは?