少し前からシェークスピアの『ヘンリー四世』を読んでいる。フランセス・イエイツの『記憶術』やケネス・ブラナーの映画『シェークスピアの庭』を見たり,テレビドラマの『ホロウ・クラウン/嘆きの王冠』(シェークスピアのシナリオに基づく)シリーズを見たりと,シェークスピアづいている。

 

 

 

 

 ドラマは『リチャード二世』から始まる。リチャード二世が,ヘンリー・ボリングブルックを追放。ヘンリーの父ジョン・オブ・ゴーント(※ゴーントは彼の生まれた場所ゲントのこと)が死ぬと,その領地を没収してしまう。リチャード二世の父親がエドワード黒太子。ジョン・オブ・ゴーントはエドワード黒太子の弟なので,リチャード二世とヘンリー・ボリングブルックは従兄弟と言う関係。それに怒ったヘンリーが追放先のフランスから戻り反乱を起こし,リチャードをとらえて暗殺。自らはヘンリー四世として即位する。リチャードは,9歳で父を亡くし,10歳で祖父が亡くなって即位したというから、戦上手になる暇もなかったのだろう。

 ※ この後,少しネットで調べると,エドワード黒太子が戦いに勝利したのは,戦術に優れていた面もあったが,装備の差ということもあったようだ。もう少し,この辺り―後年百年戦争と呼ばれた-の歴史を読んでみようかと思う。シェークスピアの歴史劇も史実通りでないことも多々あるようなので。

 

リチャード二世の肖像 ドラマでは,この服装および右手に持つglobeも,再現していた。演じる役者も細身のベン・ウィショーで儚げである。

 ※ ベンは,映画007でQとして出演。2012年の『スカイフォール』から。

 Portrait Richard II of England Unknown artist, c.1394/5

 

エドワード黒太子,彼自体はシェークスピアの戯曲にはでてこないのだが、いくつか画像を。

その父エドワード三世から,アキテーヌ(※フランスから割譲)公に任ぜられたところ。

Black Prince receives Aquitaine - Historical Compilation (1386-1399)

Initial E: King Edward III granting the Black Prince the principality of Aquitaine.
1386年と1399年の間 大英図書館

 

時代はかなり後,19世紀になるが,エドワード黒太子について,コナン・ドイルの伯父James William Edmund Doyle の作品がある。『英国年代記』のある場面

A Chronicle of England - Page 309 - The Prince Serves King John at Table

John II of France is taken hostage by Edward, the Black Prince, and treated well with a dinner. 1864年

  Doyle, James William Edmund (1864年) "Edward III" in A Chronicle of England: B.C. 55 – A.D. 1485, ロンドン: Longman, Green, Longman, Roberts & Green, pp. p. 309 Retrieved on 
作者    ジェームズ・ウィリアム・エドムンド・ドイル  (1822–1892) 
Engraver エドマンド・エヴァンス  (1826–1905) 

 エドワード黒太子がフランス王ジャンを夕食時、もてなしているところ。ジャン2世は捕虜ではあったが,エドワード黒太子から手厚い処遇を受け、イングランドでの旅行も許されていたとのこと。そういう系列のエピソードか。

ジェームズ・ドイルについては以下参照。