エミール・マールの『ゴシックの図像学』(国書刊行会、1998) 

 キリストを予告する預言者の図像化,「この予言者たちの深く感動的な相貌を表現しえたのはミケランジェロただ一人であったことを認めなければならない。この真に旧約的な天才のみが古き世界の希望と恐怖を表現できた。彼だけがエレミヤに苦しげに頭を抱えさせた限りない悲しみ、あるいは霊の息吹が神を舞い上がらせるのを感じたダニエルの熱狂を表現することができたのである。中世はそこまではいかなかった。」(p264)

 

エレミヤはユダ王国の預言者,しかし王は彼の預言を無視しついに王国は滅びてしまう。

ダニエルは夢解釈の能力に秀で,また大天使ガブリエルの声を聞く時もあった。

 

ミケランジェロの作品をみると、超人的でもあるが、人間としての個性や苦悩も描かれている。

 

マールは書いていないが、レンブラントもまたこの預言者二人を描いている。それは別の項に。