伝説によると、マグダラのマリアはマルセイユの近くの洞窟に引きこもり、彼女は以前の人生を後悔する印として裸体で過ごし,髪が体を覆っていたという。そして彼女が死んだとき、天使たちによって天国に運ばれた。

 

髪の毛で体を覆われたマリア・マグダレーナ像を探してみた。

これはイタリアのヴィヴァリーニの作品。

Saint Mary Magdalene taken to heaven by angels ポプラ材
アントニオ・ヴィヴァリーニ  (1415–1480)  ベルリン絵画館  photo by Sailko

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なんとなく,毛並みの良い人型ライオンという風情。

 

こちらは,ドイツのグレゴール・エアハルトの作品。もとはアウグスブルクの教会にあり天使たちに支えられていたという。肉体の表現にデューラーやイタリアルネサンスの影響,平穏で優雅な表情には地方のゴシックの伝統,中世末期ゴシックとルネサンスの端境期の傑作とルーブルの解説にある。宗教的でありつつ,官能的。彩色はオリジナルのもの。これは宗教的なものをあまり感じない。

Mary Magdelene penitente,Gregor Erhart  (1470–1540) ライムウッドに彩色

 from 1515 until 1520 Louvre Museum

 

ドナテッロにも,マリア・マグダレーナの像があった。

Maddalena di Donatello Opera Duomo Florence  1455ごろ

photo by Marie-Lan Nguyen

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ドナテッロの作品は、さすがに凄みがある。たぶんこれは見たのだろうが,当時は当惑した。ダヴィデ像などと比べるとあまりの違い。

 

 ヴェネツィアのフラーリ大聖堂の洗礼者ヨハネ像と通じるものがある。この作品ははっきり覚えている。ドナテッロは底が知れない。

洗礼者ヨハネ  1438年 サンタ・マリア・グロリオーザ・デイ・フラーリ聖堂 

 photo by

Didier Descouens 

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こうしてみると、裸体で大量の髪の毛が体を覆う作例は結構ある。リーメンシュナイダーのくるくる巻き毛の作例もきっとあるのだろう。