丸善・丸の内本店4階ギャラリーで開催されている写本の展覧会に行ってきた。慶應義塾図書館が所蔵しているコレクションの展示である。

 写本に興味を持ったのはここ2年ほどで,美術史の本を読んだ時にファン・アイクが写本の挿絵を描いていたということを知ってから。トリノの時祷書として知られるものである。

 1420年ごろ描かれたとされている。

 それから装飾写本に関する書物を読んだり画集を買ったりして眺めていたのだが,本物を見たことはなかった。なので,この展覧会はとても楽しみにしていた。

 まず驚いたことは,写真撮影OKの上に,慶應大学のKeio Museum CommonsというLINEで展覧会出品作品の説明および画像が見られるということ。これはとてもうれしいサービスである。

 本として製本されたもの数点,他は零葉と呼ばれる1枚あるいは複数枚のものが多数,そして巻物が展示されていた。この巻物は「ブリテン王の系譜」(1461ー1471)というもので14枚の羊皮紙をつなげて7m以上あると言う。巻物は日本のものはよく見たことがあるが,西洋中世のものは初めて。

 

他には聖書,暦,時祷書,アウグスティヌスの説教集や,俗語の写本などのテーマに沿って展示されていた。やはり美しいのは時祷書。

 これはゲントあるいはブルージュで作られたラテン語の時祷書の一部。花,苺,蝶,小鳥などが欄外に描かれている。

フィレンツェの人文主義者ヴェスプッチGiorgio Antonio Vespucc旧蔵のキケロ写本も興味深い。本文の余白には、書き込みがある。

 甥にあのアメリゴ・ヴェスプッチがいる。そんな歴史に残る人の書き込みの本物が見られるなんて!