元町海岸通りの小さなビル、レトロさにうっとりしながら、
階段をのぼる、2Fの踊り場ともいえない踊り場の
右手の重たいドアを押し開ける。
最初ドアを開いた瞬間、びっくりしてしまう、
むせかえる位のフランスの香。
息苦しさと闘って、硝子棚に陳列されている
天然石たちをみる。
繊細なかたちに創りあげられたアクセサリーたちには
その月の誕生石たちがひっついている。
そろそろフランスの香りのアタマがクラクラしてしまう、
体がそうは言っても、脳がこの場所を離れたがらない。
やっとの思いで自制して、開けたドアを香りたちを部屋に押し込め閉じこめるように
押し閉める。
メリケンパークを散歩して、
夕暮れ時、あの恋しさを思い出して、
またフランスのドアを開けに行く。
西日に硝子の棚たちがキラキラ輝かされている。
硝子の中の天然石たちが棚よりもキラキラ輝いている。
光の乱反射する中、静かな時間を感じる。
外の暗さが増す度に
中のオレンジが優しくなる。
行き交う人全員に、自分のものでもないのに自慢したくなる、
でも絶対に誰にも教えたくない、知らせたくない、
自分だけのものにしたいような、独占欲で覆われる、
恋人みたいな場所。