ラグーナ出版社『統合失調症をたどる』より「統合失調症の新たな概念をつくる」について考えてみたいと思います。


前回、少し脱線して、木村敏先生の書物から引用させて頂きました。


『統合失調症は本来なおりやすいものであるけれども、それを妨害する要因が時に非常にたくさんあるので、結果としては遷延することが少なくないという考えもありうるのではないか』(P81)


と中井先生は書いておられます。

そこには『医療者側の悲観』といった意識の影響が多いに反映してくるのではないかといったことが書かれています。


私も「本来治りやすいもの」として統合失調症を考えると、今の日本の社会のシステム(特に学校)や「働かざるもの食うべからず」といった言葉など、統合失調症の治療においては、とても妨害する要因が日本には多いように思われます。


ただそもそも

『統合失調症は本来治りやすいもの』

という考えを、私含めて患者さんやそのご家族、また治療に関わる方も含めて、みなそういう概念を統合失調症という病気にもっていないのではないでしょうか。


この項のタイトル


『統合失調症の

   新しい概念をつくる』


この本のシリーズを作った思いが、ここにこめられているようです。

中井先生との対談で、森越先生は


一般的な統合失調症のイメージが変われば、そこに希望もあると思いますし、患者さんの力で、変えられるのではないかと思いました。』(P83)


と話されています。この話にいたることになったのが中井先生の言葉、


『どのような統合失調症患者も百パーセント統合失調症的ではない。』(P82)


つまり、「1人の統合失調症の人は統合失調症のサンプルみたいなものではない」(P84)ということを中井先生は伝えておられます。


全然話変わりますが、今朝NHKで宇宙の番組をやっていて、ブラックホールが一つではなく、いくつもある話しや、ブラックホールができるのに10億年かかると思われていたが、調べていくと8億年でできたブラックホールもある、といった内容でした。

おそらく宇宙そのものは変わってないと思いますが、捉える側の知識や科学の進歩により、宇宙の見えてなかったものが見えてきた、ということではないでしょうか。


科学の進歩により、宇宙の概念がどんどん変わっていってるように、病気の捉え方も医学の進歩も含めて、関わる私たちの意識を変えていくことによって、変わる未来(現実)があるのではないかと思いますおねがい