名も知らぬ誰かに
バトンを渡されました。
「がむしゃらに走れ!」
そう言われた気がしたので、
ただただ、がむしゃらに走りました。
そのバトンは、
すでにぼろぼろでした。
仕事で評価されたかった。
誰かに認められたかった。
転びながらも、
走り抜いた。
次の走者にバトンを渡す直前で、
ランナーは気付きます。
「あぁこれは、あの時ついた傷だ」
その道すがらバトンについた
たくさんの傷。
それは誰のものでもなくて、
世界で自分だけのもの。
大事なたからもの。
すっ転んで痛かった傷も、
もうすっかりふさがった。
かさぶたはより強い皮膚を作って、
バトンには勲章を残して。
本気で、
がむしゃらに走らなかったら、
勲章を労わることも、
傷を懐かしむこともできなかった。
そんな20代だったと思う。
もうすぐ、
また名も知らぬ次のランナーが見える。
その時、
やっぱり変わらずこう言うんだろう。
「がむしゃらに走れ!」
頑張れ!次の20代!

