ソフトバンク、純有利子負債約2兆円の完済目指すと宣言 | 実録「負け犬サラリーマンの株式投資日記!!」

ソフトバンク、純有利子負債約2兆円の完済目指すと宣言

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4月30日、ソフトバンクは純有利子負債約2兆円の完済目指すと発表。昨年11月、都内で撮影(2009年 ロイター)
[東京 30日 ロイター] ソフトバンク<9984.T>は30日、純有利子負債残高について、2012年3月期に半減させた上で、2015年3月期には完済を目指すと発表した。
2009年3月末の純有利子負債は1兆円9395億円。大規模投資を抑え、今後の純現金収支(フリーキャッシュフロー)を返済にあてる。2007年3月期の旧ボーダフォン買収時から2兆円程度で推移している純有利子負債の削減を図り、市場の不安の払しょくに努める。
返済の原資は、2010年3月期から3年間で累計1兆円前後のフリーキャッシュフローを積み上げる計画。ボーダフォンの買収から設備投資を繰り返して顧客の獲得に力を入れてきたが、今後は「収穫期に入った」(孫社長)として携帯電話や固定電話の通信料収入を中心に現金収支の獲得を図る。
さらに、携帯電話事業の設備投資など、今後は「大規模な投資を抑える」(同)との意向も示した。会見した孫正義社長は、純有利子負債の削減を強調する理由について「ボーダフォンを買収してから借り入れ金が多すぎると指摘されてきた」と述べた。
さらに、ソフトバンクは配当政策も転換。これまで1株あたり2.5円で継続してきた年間配当について、2010年3月期は倍額の1株あたり5円を計画する。純有利子負債が半減する2012年3月期と、残高をゼロにする2015年3月期には、さらに増配を目指すとした。
<今期営業利益は6年連続最高益>
2010年3月期の連結営業利益予想は前年比16.9%増の4200億円。契約あたり月間収入(ARPU)の底打ちによって携帯電話の通信料売上高の増収を見込み、5期連続の最高益を目指す。トムソン・ロイター・エスティメーツによる過去30日間の主要アナリスト4人の予測平均値4336億円を下回った。今期のフリーキャッシュフロー予想は2500億円で、前年の1815億円から38%の増加とした。
売上高予想は公表していないが、孫社長は「増収を見込む」と述べた。携帯電話端末の販売台数は減少基調にあるが、利益のとれる携帯電話の通信料が増収基調にあることを強調した。
2010年3月期の設備投資は2200億円の計画で、前期実績の2590億円から減少する見込み。孫社長は「ボーダフォン買収の先行投資は一巡し、設備投資のピークは過ぎた」として、今期以降も低い水準の設備投資にとどまるとの見通しを示した。
<前期の携帯端末販売は14%減、ARPUも低下傾向>
2009年3月期の連結業績は、携帯端末の販売台数が減少したことから、連結売上高は前年比3.7%減の2兆6730億円となった。携帯端末の販売が落ち込んでいるが、孫社長は、端末販売は代理店への奨励金などがかさむことから「利益の出る事業ではない」と指摘。この一方で、09年3月期は、携帯電話の通信料の売上高が伸びたことから「利益の出る事業構造になっている」と強調した。
2009年3月期の端末販売台数は842万台で、前年同期の988万台から減少。携帯電話契約数は、新規契約から解約を差し引いた純増数が前年比11%増の204万件で、NTTドコモ<9437.T>、KDDI<9433.T>を抑えて2年連続でトップ。3月末の累計契約数は2063万2900件だった。契約あたりの月間収入(ARPU)は4070円で、前期比580円の減少で低下傾向にある。
営業利益は前年比10.7%増の3591億円となり4期連続で最高益を更新。トムソン・ロイター・エスティメーツによる過去30日間の主要アナリスト3人の予測平均値3601億円とほぼ同水準だった。
当期純利益は前年比60.3%減の431億円。
保有していた債務担保証券(CDO)8銘柄にディフォルトが発生し、750億円の特別損失を計上したほか、前期に中国のインターネット関連企業アリババ・ドット・コム<1688.HK>株の上場益を計上した効果がなくなったのが響いた。
1株あたり配当は前年比変わらずの1株あたり2.5円だった。