気象庁長官 震源位置ずれなどでおわび

ケボライト
2015/02/19 21:50

17日の三陸沖の地震で、気象庁が震源の位置を正確に特定できず、津波注意報や到達予想時刻を適切に発表できなかったことについて、気象庁の西出則武長官は技術的な改善策を検討する一方、津波が予想より高くなったり、到達が早くなったりすることを丁寧に説明していく必要があるという考えを示しました。

気象庁は、17日午前8時すぎに三陸沖で発生したマグニチュード6.9の地震で、岩手県沿岸に津波注意報を発表しましたが、直前に起きた別の地震の影響で震源の位置を正確に特定できず、およそ100キロのずれが生じました。この結果、本来、津波注意報を発表すべき青森県太平洋沿岸と北海道太平洋沿岸中部に注意報を発表できなかったほか、岩手県の津波の到達予想時刻を本来より10分遅い時刻で発表していました。

これについて気象庁の西出長官は定例の記者会見で、「実際の津波は予想の範囲内に収まったが、結果的によかったでは済まされず、関係する自治体におわびしたい。改善策を検討し、信頼の回復を図りたい」と述べました。

そのうえで、「津波注意報や警報は3分以内を目標に発表しており、大幅に遅れることはできない。津波が予想より高くなることや、到達予想時刻より早く到達することがあるとこれまでも説明してきたが、丁寧に説明していく必要がある」と述べ、予測の精度に一定の限界があることに理解を求める考えを示しました。

一方、西出長官は火山で新たな噴火が確認された際、登山者などに向けて数分以内に発表する「噴火速報」を、ことしの夏山シーズンをめどに運用することについて、「総合的な防災対策の一つであり、情報だけで命を救うのは難しいが、登山者が山かげや木のかげにいて噴火が見えない場合もあるので情報を退避に役立ててほしい」と話しています。

津波予測の手法と改善策

日本の沿岸では大きな地震が発生した直後に津波が押し寄せることがあるため、気象庁は地震の発生から3分以内を目標に津波警報や注意報を発表することにしています。

このため、地震発生から1、2分後までに観測された震動をもとに震源の位置や地震の規模を計算し、対応する津波の高さや到達予想時刻を発表します。

震源の位置を決める際には地震発生直後に速く伝わるP波という小さな震動と、その後続くS波という大きな震動を地震計で観測し、2つの震動の時間差から震源までの距離を割り出します。

しかし、おとといは津波を引き起こした地震の震動が始まる10秒ほど前から別の地震の震動が観測され、2つの地震のP波とS波が重なり合っていました。

気象庁は同一の地震として震源を計算し、位置を見誤ったということです。

気象庁は今後、緊急地震速報のシステムで運用している「P波」だけから震源の位置を瞬時に推計する手法や、海底地震計などの観測データを活用して計算の精度を高める手法など、さまざまな技術の中からより有効な改善策を検討することにしています。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150219/k10015592251000.html