マジすか学園外伝 センター編 第94回 | くさだいらのマジすか学園 (小説)

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警部補と若田が視線を向けた場所には、病院の待合室のソファーで深々と座り、新聞紙を広げている1人の男がいた。




若田「アンタ一体、なんで黒崎のことを?」


?「……気になったら調べてるのが、私の仕事ですからね」



若田「んだとぉ?」若田が男の方へ近付こうとしたが、警部補は若田の肩をつかんだ。「……主任?」



警部補「……いいんだ若田。……薄々感じてはいたが、やっぱりあの非通知のタレコミは、アンタだったか」



驚く若田。




若田「主任、コイツは何者なんですか?」



警部補「……コイツは政治家や官僚の不祥事を好むフリーライターさんだよ」



若田「フリーライター?」




男は広げていた新聞紙を畳んで、警部補と若田に姿をさらした。



その男は眼鏡をかけており、細身の体型をしていた。




?「ハハハ、私はただこの国の代表面して、税金の無駄遣いをしてる連中を、国民の皆さまにお伝えしてあげてるだけですよ」




男は眼鏡をはずし、眼鏡吹きでレンズを吹き出しながら話した。



警部補「そんな不祥事大好きなお前が、どうして少年犯罪なんかを追ってんだよ?…まさか今度は警察の不祥事でもあぶり出そうとでもしてんのか、百目木?」





その男の正体は、以前にもセンターに接触したフリーライターの百目木(詳しくは31・32回参照)だった。




百目木は眼鏡をかけ直し、ソファーから立ち上がる。




百目木「別に私は黒崎紗理奈に興味はありません。私が興味を持ってるのは、その先なんですからね」



警部補「黒崎の先だと?」




警部補と百目木の目が微かに鋭くなった。





百目木「そう、もしかすると高橋警部補の娘さんや、アナタの先輩である木崎元巡査部長の息子さんの件も、道を辿れば同じかもしれませんよ」




警部補「おっ、おいそれはどういう!?」


若田「主任、ここは病院ですから」


百目木「そうですよ、それこそ税金の無駄遣いですよ高橋警部補。……まあ一つだけ言えることがあるなら、そう遠くない未来、私はこの国のとんでもない大不祥事をあぶり出すつもりです」


警部補「この国の大不祥事だと?」


百目木「ええ、ただ今言えることはそれだけですけどね。それじゃあ私はこれで」




そう言って百目木は会釈をして去ろうとしたが、一度深呼吸をして落ち着いた警部補が声をかける。




警部補「待てよ」立ち止まり振り返る百目木。「大事なことを聞き忘れてた。どうしてあんなタレコミをしたんだ?」



百目木「……通報は国民の義務じゃないんですか、高橋警部補?」




そう言って百目木は去っていった。




警部補「たく、喰えねえ奴だ」




若田「主任、アイツが言った日本の大不祥事って何なんでしょう?」



警部補「さあな、ただ私たちは未来よりも、目の前のヤマのホシをあげるぞ若田」


若田「はい」



2人も病院を去って行った。