梅の花の温かさ③ | PADME

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春が来るPart3

 

 今年の自家製梅干しや梅酒を友人や知人に配ったりします。まだ熟成しきっていない爽やかさが魅力の梅を食しながら、今年の味を確かめるのです。7月下旬になると、その梅酢を使って新鮮な夏野菜の即席漬け、紫漬けを出す家がありました。重石をして漬け込んだ梅から、数週間後に梅酢(梅のエキス)が出て来ます。梅酢は赤紫蘇用を取り分け、残りは別の瓶に入れます。これが芝漬けに、ドレッシングにと活用されます。こんな風に鎌倉の人は梅好きです。

 

 梅酒や梅干しを作る通称 梅仕事が、季節を感じる奥深い作業だからでしょう。また出来上がった物を分かち合える喜びもあります。ジュース、梅酒、ジャム、ゼリー、早い物から熟成された物まで梅料理が色々楽しめますが、やはり鎌倉の人にとっては梅干しが一番です。梅干しは大人から子供まで食べられますし、色も味も日本人に無くてはならない物です。鎌倉の飲食店では、この季節に選び抜いた梅で自家製の梅干しを漬けます。大きな物から小梅など色々。

 

 禅宗寺院では、大切なお客様の疲れを癒して貰う為に、砂糖や水飴、蜂蜜などをお湯で溶かし、そこに梅干しを添えておもてなしをする作法があります。これは梅の湯と書いて梅湯(ばいとう)、梅湯茶礼(ばいとうざれい)と言います。梅干しと甘くしたお湯を混ぜて頂くのですが、相手の人に糖分と塩分と水分を補給して貰い、疲れを癒やして貰う為の作法です。またお茶の席や日常においても、梅は和菓子などで季節感を表わしたりするのに良く使われます。

 

 いち早く春の訪れを伝えてくる事から、梅は単に花を愛でるだけではなく、その香りや食べ物としても私たちの生活に親しみがあります。道元禅師の著書『正法眼蔵』の中に、梅を仏教の教えに例えた「梅華」という1巻があります。梅華の巻には、道元禅師の師匠である天童如浄禅師が非常に梅を好んでいた事が書かれています。その中で如浄禅師は、雪深い中で修行している時に感じる梅の花と香りに、心が癒される事もあるだろう。しかしそこにはただ1本の。

 

 花が咲いた梅の枝があるに過ぎないと示します。道元禅師は、それをお釈迦さまの説いた、壮大な仏の教えの現れであると説きます。その上で先の道元禅師の和歌を読むと、四季の移り変り全てが仏さまの姿を現している。そう読める様に思います。梅の花を見ながら、そこに仏さまの姿を思いたいものです。

 

*『正法眼蔵・梅華』巻…寛元元年(1243)11月越前(福井県)吉峰寺で著述

*梅湯茶礼…旅館で到着後部屋で梅干しとお茶を飲むのはここから来ている

 

萬善寺