今ここに生きる➁ | PADME

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人生を豊かに

命有るは有り難い

 

 交通事故や災害などにより、命を落とす人のニュースを聞かない日はありません。ところが新聞やTVなどでそれを目にしても、普段どこか他人事のように受け止めていませんか。2019年4月19日に発生した池袋事故から5年が経ち、4月20日テレビ東京が遺族の松永拓也さんを取材して、ドキュメンタリー番組「笑顔で生きよう」を放送しました。事故は東京都豊島区池袋4丁目の都道で、乗用車が急加速し交差点2つを含む約150mを暴走したのです。

 

 87歳の高齢ドライバーによる運転の操作ミスで、赤信号を無視して横断歩道に突っ込み、9人が重軽傷、自転車に乗っていた松永真菜さんと莉子ちゃんが命を落としました。事故当日のTVニュースを見ながら、私たちがこうして今無事でいられるのも当たり前ではなく、たまたまの巡り合わせによるものだと改めて感じました。今日日本人の平均寿命は、男女の違いはありますが概ね80代半ばです。しかしその平均寿命を保証されている人は誰一人いません。

 

 例えば癌になる可能性が何%というデータ上の話も、私たちにとって癌になるかならないか、つまり0%か100%なのです。命の事情は人それぞれ個別に違います。事故や天災はほんの数秒の僅かな差です。ですから自分の命の見方は、何時どうなるか分からない、不安定な命であると見るべきではないでしょうか。体の丈夫な人や健康に気遣う人が長生きするとは限りません。あの東日本大震災から丸13年を迎え、本年も1月1日能登半島地震がありました。

 

 家屋倒壊や津波により多くの人たちが命を落としました。不用心で落ち度のあった人が亡くなったのではありません。その様に考えると、私たちの命が今日無事に保たれているのは、不思議な巡り合わせによる所が大きいとも言えます。もちろん健康や安全を心掛けて暮らす事も私たちの命を支えてくれています。しかしそれは絶対ではありません。不安定な人の命が今こうして無事に保たれている縁を感謝しつつ、有り難い時間として生きてゆこうと考えましょう。

 

 明日何が起こるかもしれない中ではありますが、今この時、この場所で、命あるのは有り難しとの思いを持ち、大切な自分の時間を過ごしたいものです。